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熊本サテライト会場

 

「ユニバーサルサービスを考える〜ホスピタリティの多角化・複合化を目指して〜」

 

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討議風景

 

熊本サテライト会場は「ユニバーサルサービスを考える〜ホスピタリティの多角化・複合化を目指して〜」というテーマで2月1日、熊本県人吉市のグランドホテル鮎里でフォーラムを開催しました。冒頭主催者を代表して前田浩文熊本県商工観光労働部長が挨拶したのに続き、「観光事業ともてなしの品質」というテーマで作古貞義流通科学大学商学部教授が基調講演、そのあと地元の旅館経営者の堀尾謙治朗氏と主婦の野田京子氏から問題提起をしていただき、これを踏まえて中央委員と地方専門委員を交えた討議・意見交換会が行われました。その成果については、コーディネーターである立山敏男熊本県立大学総合管理学部教授がつぎのようにまとめました。

「まず、ユニバーサルサービスについて、ホスピタリティ、つまりおもてなしの心を中心にしたお客様・顧客第一主義の考え方に基づいたサービスと定義し、観光産業で従来行われているハード、ソフト、それにハートを21世紀はもう一度見直す必要があるとした。その見直しの核となるのがホスピタリティ、おもてなしの心で、企業理念まで浸透させる必要があるとしている。その場合、サービスに対する品質管理はメーカー側がいうQS、CSに、従業員を満足させるESまで見直すのが基本的な考え方であることが明確にされた。そして、ユニバーサルサービスとは地元のブランドをつくりあげること。その観点から1つは、最近の旅行形態の変化に地元住民が追いつけない。旅行する立場から見ても、豊富な資源を十分に理解していない問題点が指摘され、情報発信の仕方に工夫が必要との意見がだされました。とくに女性の満足度を高めることが観光客の増加につながる。受入れ側としても資源の見直し、マニュアル通りのサービスでは飽きられてしまう。施設の情報、看板類を統一してほしいといった要望がだされました。いずれにしても、南九州三県は産業・情報・人の交流の面で連携すべきことに意見は一致し、南九州の特長をだしながら、最終的には1人ひとりが考え方をもう一度見直していく必要があると結論づけられました。」

 

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作古貞義氏

 

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立山敏男氏

 

基調講演

「観光事業ともてなしの品質」

流通科学大学商学部教授 作古貞義

 

「観光」という言葉のツーリズムはトルヌスというラテン語が語源だそうです。ろくろを回すという意味で、旅、周遊というのはそこから生まれたと言われています。人はなぜ動くのか。当然のことながら動く先に自分の求めるものがあるわけで、それを享受できれば、人はそこへ集まってくるのです。人が移動することは文化と財貨の交換が行われます。観光はまさに文化の交流と経済効果の両方を1つにしてくれていると評価できます。

問題は、人々がその地域に移動してくれる魅力と、行きたいと思う人のニーズが一致しているかどうかです。こうした資源の魅力とニーズをいかに結びつけるか、これが観光地経営のノウハウなのです。資源は当然魅力を高めなければいけませんし、保全整備が必要です。そして、それができると誘致受け入れの接遇となるのです。これを一体にして付加価値をつくり、最終的には訪れる人に精神的満足感を持ち帰っていただくのです。

その1つの視点は顧客満足です。いつの時代でも、ユーザーが満足してくれないと、次の需要は発生しません。ここでホスピタリティという軸でもう1回、顧客満足を考える必要があります。地域に住む人々の心に触れたときに旅人の満足度は高まるものと思います。私は、4年前米国のハンディキャップを持った方々に対する公共的な施設を見に行きました。一番感じたことは、ハンディキャップを持っているゲストに対する対応が、地域の行政やNPOというチャンネルがあり、事前連絡すると最後までアテンドしてくれ日本と違う感じを受けました。時代の流れはそういう方向に流れており、この満足についてのクオリティ(品質)を管理しなければと感じたわけです。

 

 

 

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