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【石田尾】今のご指摘を踏まえ、南九州の観光イメージの創出あるいは情報発信について、三県の専門委員も加わっていただきたいと思います。

【若井】阿蘇を旅する人々は、目的がないのが最近の特長です。そこに幸せな出会いがあるとすれば、立場の違う人が交流をすることだと思います。そういう機会をいかに上手にセットできるかが重要です。いま「冬の阿蘇をつくろう」というキーワードで動いております。

【岩切】昨秋沖縄へまいりました時、旅行業者から「宮崎は温泉がないじゃないですか」といわれました。情報を発信することで満足していたのかなあと。もう1つ、個々人が発信すれば強いパワーになると感じております。

【田島】妙見温泉は最近まで高級料亭付き豪華宿泊施設がもてはやされた気がします。それをまだ引きずっており、お客さんはほかのところを見ているような気がします。南九州にきたら、「いいね。私は鹿児島にきてるんだ」という、地域性を感じさせることが大切です。

【石田尾】今度はどういう魅力づくりが可能なのか。中央委員の皆様にご発言をいただきたいと思います。

【石月】この際、統一イメージを見直す必要があるのではないか。「南九州」を売り込むイメージは気候、活火山です。それから生活観光という観点から、北国の人がアルバイトをしながら滞在するような交流形態、年寄りのワーキングホリデーも考えていいのではないか。

【松田】20年前にオランダ村をつくりました。その時に自然との調和、本物指向をやったのが観光客に合ったわけです。「観光のため」というのではだめだと思います。

【下竹原】三県が持っている資源をどう活用するか。科学的な調査、マーケットリサーチをやるべきです。また、個人的に文化伝承をやっておりますが、そういうことを頭に入れながら調査し、情報発信していただきたい。

【玉城】沖縄の観光は毎年10%伸びています。それは航空会社の宣伝効果だと思います。もう1点、沖縄開発庁は自治体が他の地域の人たちと交流するのに補助金とか支援事業を経験し、来年度から本格的にバックアップすることを考えています。参考になればと思います。

【古木】観光開発は世界的に保護型となっているようです。ニュージーランドは道を通る人も1日何人という自然保護区があります。私は屋久島にまいりました。高いところまで車が上がれるので、排気ガスがすごいのです。行政と民が力を合わせて研究する必要があります。それからビクトリア州の例ですが、クラシックなレストランカーがフルコースを食べながら街の中を走ります。世界から予約がいっぱいで、創意工夫が必要と思いました。

【南】南九州は素材はあるのですが、あるがままの自然では心地好くありません。削ぎ落とすという努力をしないとなかなか力強くなれないと思います。

【若井】三県の統一イメージが描きにくい原因は、土地を使いこなしていないからです。宮崎県で隣村に行くのに5時間もかかりました。交流もほとんどありません。観光の多様化の話がありましたが、山は大変相応しいので、私は山岳部分を三県共通のアイテムとして、統合的なイメージが形成できると思います。

【迫田】私も議論に参加させていただきます。鹿児島県は年々3〜4%入り込み客数が減っています。三県ともこのままではだめだという問題意識があり、平成元年から鹿児島と宮崎が一緒に海外・国内のキャンペーンをやっています。平成9年から熊本も入って取り組んでいます。また、三県は議会の議員連盟をつくり、行政をバックアップする状況にあります。南九州の統一的なイメージを発信する必要性が指摘されました。これが私どもに課せられた課題だと思っております。

【伊東】先ほどのマーケティングですが、観光客だけでは足りません。観光事業者の方々の意識調査も必要です。また、メディアの発信力のなさですが、プロモートできる人材を育てることも必要です。三県共通の壮大なテーマ、ストーリーを考えられたらいいと思います。

【青山】南九州のキーワードとして暖色系の話がありました。ぜひ季節やタイミングごとに大きなくくりで、旅人に訴えていただきたい。それから旅人の期待を裏切らないために的確な情報発信が望ましいと思います。

【石月】日本観光協会は先般来NTTデータやゼンリンなどと協力、新しい全国地域観光情報システムを完成しました。鹿児島県はすでに総合的な観光情報を提供しておりますので、旅館、ホテル業界が連動していけば、情報提供ができます。お使いいただければと思います。

【田島】「南九州」という言葉ですが、「南」は福岡、熊本とか地理的なことをいっているわけですが、台湾、香港からみればどうなるのか。この「南」という意味をもう一度噛みしめないといけません。また、「暖かさ」と「南」は違うことをぜひ押さえていただきたい。

【石田尾】長時間にわたって熱心にご討議いただき、大変意義があったのではないかと思います。

 

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討議・意見交換のもよう

 

 

 

 

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