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九州全体の観光底上げを

アジアからの観光客に期待

 

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(社)日本バス協会副会長

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■21世紀最初のWACが南九州で開催されます。何か思い入れがありますか

松田 TAPの第1回会議は長崎・熊本県で開催されました。それ以来久しぶりの九州での開催となります。確か当時は「ふじ丸」という船上で、それも進水したばかりの使用前の船を利用し洋上で会議を行いました。

 

■WACについてはどのように評価していますか

松田 観光は基本的に民間主導でなければならないと思っていますが、公的な力によるある程度のバックアップというか、リードも非常に大事なことです。現実にこれまで民間でやってできなかったことが、WAC開催によって成果をあげることができました。それは瀬島龍三さんというリーダーに恵まれたこともありますが、各県の知事や市町村が積極的な気持ちで取り組んだことも大きい点です。これまでどちらかといえば、県同士が直接競争しあってきました。しかし、こうした会議を通じて地域ごと、あるいは各ブロックごとに力を合わせるようになり、広域的な視点で取り組むようになったことは大変意義のあることだと思います。

 

■最近観光ニーズが変化しているといわれますが、バス事業からみるとどうでしょうか

松田 確かに旅行の形態が変わってきました。従来は何十人という大型の観光団による団体旅行が70%を占めていました。しかし、今や団体旅行は10%にまで落ちています。現在は5人ないし10人という家族や友人、あるいはグループによる旅行が主流を占め、これが50%を越え、60%近くになっております。

こうした時代の流れにバス業界の対応の仕方も変わらざるをえなくなっています。5〜10人の旅行者にとって大型バスを貸し切るのはもったいないし、マイクロバスでも大きい。今、地方を旅行するのに一番良いのは乗合バスといわれます。いくらでも乗れますし、経済的にも安く、かつ気楽に利用できます。そういうことから、これからは観光地と観光地を結ぶだけではなく、空港や駅、港といった他の交通機関との拠点とも結ぶ必要があり、この役目を乗合バスが果たしていくのでしょう。いわゆる観光貸切りバスではなく、観光乗合バスになってくると思われます。

 

■南九州WAC21では何を期待しますか

松田 南九州が比較的遅れているのは交通インフラ、アクセスです。例えば、九州一周の道路はできていません。横断する道路もほとんどありません。鉄道も大分と宮崎間が4、5時間もかかります。短時間に移動できるよう特急化するとか、スピードアップするためレールを重くする必要があります。

そして九州は七県で構成するアイランドです。今回の開催地は南の三県ですが、北部四県とも密接な関係があります。すでに九州経済連合会では七県の観光をまとめる委員会として九州観光開発会議、その実行部隊として九州観光促進協議会が発足、九州知事会とも意志統一をはかりながら、今後の問題点やこれからの方向について議論をしています。宣伝に関しては一部パンフレットやポスター、リーフレットなどの製作で、例えば九州阿蘇とか、九州天草というように九州という冠をつけるような取り組みを共同で行っています。それは外からのお客さんを九州内のあちこちへ誘致するためで、七県が競争と協調しながら一緒に努力していかなければならないと思います。

 

■最後にインバウンドについて一言お願いします

松田 アジアから一番距離が近い。ということは安く来れるんです。これからは恐らく東南アジアからの九州へのアクセスは増える方だと思います。とくに期待が大きいのは中国です。海の向こう側ですし、昨年から団体旅行が開放されました。まだまだ緒についたばかりですが、これから大いに期待をしています。

 

 

 

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