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「観光とは変化すること」

外国での生活留学を通じ、国際人養成を

 

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(社)日本旅客船協会会長

立花欣一

 

■TAPあるいはWACに出席して何か感じたことがございますか

立花 およそ10年前になりますか。1992年に四国でTAP地方会議が開催され、観光のビジョンについて論議されました。私はそこでちょっと違った意見を申し上げました。というのは、観光は山、海、川といった自然の景観もさることながら、有形物と結びつけて国民的な活動を展開していますが、日本が国際的になったというのであれば、カジノをつくったらどうか。それも船を活用する、賭博船を造らせてくれと申し上げたんです。

 

■随分思い切ったことをズバリ提案しましたね

立花 それは私の夢でもあります。「海の観光とは何か」を考えますと、船そのものが観光ですが、船に乗って景色だとか海の色がどうだ、というのが果して観光なのかと疑問を持ちまして、今でいうクルーズみたいなものですが、船に力ジノをつくって、美味しい食事をしながら楽しむ。もし賭博船を造らせてくださるなら、ワンデイ、ツーデイの瀬戸内海クルージングをやりますと提案したんです。洋上なら警察権も十分確保できますし、そういう時期にきているのではないかと申し上げたんです。ところが、わが国は法律体系が整っていないということで、話は中途半端になってしまいました。

 

■会長にとって、観光とは何でしょう

立花 旅客船事業をやって感じるのは、「観光とは変化」ではないか。海、山、川も変化があってはじめて生きてくるのです。また、これからは新しい世代を象徴するような変化をつくるべきではないか。カジノもその一つ。お客さんで賑わうのは間違いありません。沢山の人が集まってはじめて観光は成り立つと思うのです。

私は海の観光の目玉をつくりたいんです。やはりバラエティに富み、変化がないと面白くない。米国のラスベガスはまさにその典型でしょう。若者も溶け込んでいます。もし警備や警護など安全性を懸念するなら、乗船する際に身分証明書を提出させるなど、危険人物の乗船を拒否することを考えたらいい。

実は私は何回か外国で大型クルーズ船を体験しました。島を巡ったり、沖に停泊し海水浴を楽しむ。夜は女性がドレスアップし、美味しい食事をしながら楽しむ。ディナーではメインテーブルに船長が乗客を紹介しながら一緒に会食、楽しい一日を過ごしてもらうもてなしをやるんです。お客さんはほんとに良かったと満足し、人間が生き生きとします。これは船だけ持つ特性ですよ。

 

■南九州についてはどんな風に見ておられますか

立花 商売のことで宮崎に何回か参りました。観光都市としては皇祖降臨の地とか、歴史的にもいろいろ内在した土地柄です。また、日南海岸の自然も素晴らしい。ただ、残念なのは温泉がない。その点、鹿児島は指宿温泉などがあり、そのほか熊本にしてもそれぞれ観光資源を擁しています。しかし、長期滞留型の要素は少ないような印象をもっています。観光のもつ要素に歓楽的な面も必要で、そういうものをミックスすべきと思いました。

 

■今度の会議ではどんなことを期待しますか

立花 WACのねらいの一つは広域連携観光ですが、自治体の対応の仕方をみていますと、どうしても狭い視野となりがちですので、それを乗り越えて欲しい。

また、国際化の時代といわれますが、これから日本人は外国と交流・接触し、言葉の壁から開放されなければなりません。性格的にももっとアクティブになるよう改造する必要があるのではと感じます。私はもっと人々の生活の中に入っていくべきだと思います。例えば、姉妹都市がある地方では、いくつかの世帯を交換交流し、短い期間でも外国で暮らす。そして向こうの慣習を身につけ、マナーを経験する。とくに若い人は海外にホームステイし体験すべきだと思っております。

 

 

 

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