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司会/皆さんも、是非、今日、「旅フェア2000」という事でお送りしておりますけれども、旅の発見をしてね、お帰りになって頂ければなあって、すごく思うんです。

最近旅は、飛行機、それから新幹線、あっという間に目的地に着く事できますよね。短時間で、北海道にしても、沖縄にしても。でも、そういった、スピーディーになってるっていうのは、例えば、お仕事で移動される方、急いでる方にとっては、それは素晴らしい事なんですけれども、目的地に着くまでの時間を楽しむというのも、旅の1つではないかと思うんですが、いかがお思いになりますか、榎木さん?

 

榎木/確かに便利になったけど、僕は逆に、つまらなくなったとも思ってるんですけれども、時間をかけて、昔は、僕は、結構一人旅、日本の国内でもやってたもんですから、ヒッチハイクで東北をずっと一周したりですとか、そういう時の方が、思い出としては、より深くなりますしね、いっぱい色んな人たちに助けられて、旅しましたんでね、そういう方が思いが深いんだけれども、汽車のスピードがどんどん速くなって、窓が開けられなくなってから、ちょっと、つまらなくなったかな。窓開けて、駅弁を買って、もうちょっと昔だと、SLが、まだね、僕の小さい頃、僕は九州、九州鹿児島なんですけれども、走ってまして、トンネルの手前になると、一斉に閉めないと、煙が入ってきちゃうんですけれども、そういう事って、今は知らないわけでしょう。ああいうのもまたね、それは1つの楽しみだったんだけれども。

日本でも、どこが一番遠いかって、ふと考えたら、例えば、一番最近行った中では、四国、高知県のちょっと、結構山の中なんか行きましたら、僕の郷里の鹿児島は、距離的には遠いんだけど、全然早いんですよ、その方が。飛行機で行って、今はもう、飛行場からも便利になってきましたんでね。

ところが、この前、高知行ったら、飛行場からまた車で5時間ぐらい行かないと着けなかったりとか。意外と、だから、僕にとったらまだ、行くのにちょっと苦労するような場所の方が、魅力的かなっていう気はしますけれどもね。また、その、行く過程が、また楽しいですからね。

 

司会/これからの旅、2000年という事で、どうありたいなあとお考えになりますか?

 

榎木/これは個人的な見解なんですけれども、あんまり、開発、開発ではなくて、やっぱり、今ある物を大事にするっていう事。

やたら新しい物を作ってリゾート化するのではなくて、例えば、町にある伝統ですとか、伝統工芸でも良いし、歴史でも良いですし、どんどん新しくすれば良いっていう発想ではなくて、元々あるものを生かして、どうアピールするかって事を考える。で、そこには必ず、人が介在するわけですから、僕は、キーポイントは、人との出会いだと思います。

 

星野/今ね、とっても、目的地まで、早く到着するようになっちゃったと。とても、それは、便利な事ですよね。例えば、ご両親が病気の時に、パッと帰れるとか、良い事もたくさんある。でも、純粋に、旅として行く場合には、それが、結構、厄介っていうか、その汽車の速度で旅しちゃうんですよね。さあ、目的地に着きました。じゃあ、何見て、どうして、こうしてっていう事を、追い立てられるような、汽車や、飛行機や、何かの速度で旅を考えちゃうように、私たちは今、なってるんじゃないかなと思うんですよ。だから、田舎の方に行くと、ガッタンゴットン、ガッタンゴットンっていう電車に乗って行くと、そこを降り立った瞬間に、その、ガッタンゴットンの気持ちで、旅ができるような気がするんです。だから、新幹線で行っても、飛行機で行っても、どっか、気持ちを、ガッタン、ゴットン、ガッタンゴットンに戻して、旅しないと、本当に、サーっと、新幹線の窓から風景が、パーっと消えて行くような旅で終わっちゃうような気がするし。どっか、今、現代人は、スイッチをポンと入れ替えて、着いたら、じっくり旅を楽しむというような、何か、気持ちに入れ替えないと、本当の旅の面白さというのは、どうも難しいような気がするんですよね。

 

 

 

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