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萬田/日本ならではというのは、たくさんあるもんですね。

 

生島/ありますね、庭園がね。

あと、金沢も、僕は、大好きです。金沢行くと、何となく、京都に行ったような、で、京都はまた、食べ物が美味しいんで、ちょっと奮発したりするんですけど、それぞれの土地に合わせて、楽しみ方があると思うんですけどね。

 

萬田/大阪も美味しいですよ、安くて。

 

生島/あと僕は、よく、路線バスの旅で行ったんですけど、バスで行く旅というのは、おつなもんでね、地元の方と、色んなお話ができるんですよ。

 

萬田/私も旅に行くと、地元の方と飲みます。それも、おじいちゃん。おじいちゃんで、結構強い人が多いんですよ、南の方の人は。何か、秘密のお酒とか出してくれて、飲めや、飲めやって言って、もう…。やっぱり、そういうのは思い出に残ってますよね。

 

生島/僕は、思い出に残ってるといえば、昔、路線バスの旅で、ずっと北陸の方登ったんですけど、バスの運転手さんに、インタビューしたら、僕は、最後、泣いちゃったんですよ。というのはね、路線バスというのは、だんだん、乗る人が少なくなって来て、そのバスの運転手さんが若い頃は、奥様もバスガイドさんだったんだけど、もう、皆がバスに乗ってね、バスの運転手さんというのは、スターだった。で、その全盛期が、やっぱり、頭からこびり付いて、離れないんですって、だから、今、どんどん、この前まで乗ってた人が、バスから車に変わったりなんかして、それが、寂しいと言うんですよ。

だから、お休みの日はね、そのバスの運転手さんは、色んな町内を回って、バスに乗ってくださいって、ボランティアでやってるんです。その話を聞いて、感動いたしました。

自分自身が大好きな仕事に就かれて、その仕事が、どんどん、どんどん、人が減ってくる、寂れていく、それを食い止めようと必死になってる人の姿を見た時に、僕は、北陸の温泉に入りながら、思わず、涙したんです。

だから、本当にこつこつと、目立たない所で、一生懸命生きてらっしゃる方が、全国にいるってことが分かったのも、やっぱり、旅をしたからだと思うんです。そういう意味では、冬場のちょうど、日本アルプスを見ながら入った、川沿いの露天風呂、これは忘れられませんね。

 

萬田/やっぱり、生島さん、すごく覚えてますよ。羨ましいくらい。

私なんて、仕事で行ったりしてるので、フイルムに収まってると思うからでしょうか、その、写真も撮っていなければ、何も、あんまり覚えてないですもんね。

 

生島/例えば、桜がお好きだってお話ですけど、桜も、20代の人が見る桜と、70代の人が見る桜とでは違うと思うんです。まして、80になると、これは、遠藤周作さんがおっしゃってましたけど、桜が散りゆく哀れを感じるらしいんですけど、そうすると、だんだん、だんだん、熟年から老年に入ってこられた方は、あと、この桜を何回見られるんだろうかと、満開の桜を見る時の気持ちが、全然違ってくると言うんですよ。

だから、きれいな桜の季節は、わずか1週間から10日くらいかも知れません。その桜を愛でながら、何か、桜を眺める気持ちというのは、心の豊かさにつながると思うんですけれども。それで、散っていく。そして、あと何回見られるんだろうと、ぽつりと言った、遠藤周作さんのその言葉なんかも、僕、忘れられないんですけど。

でも、そうやって、こう、風の香りとか、光の感じとか、花の咲き具合、散り具合、そういう事を楽しみながら、日本全国を廻ったら、これぞまさしく、日本のわびさびの感じっていうのは、世界になかなかないもんですよ。これを、今からで良いんですよ。心に留めながら、生きていったら、毎日が充実すると思うんです。

 

 

 

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