Q180 堰・水門とは?
A180 堰と水門は流水を制御するために川を横断して造られた構造物です。近代的な堰と水門は門扉を引き揚げるモーターを格納した頭部が大きく、両者とも形態が良く似ており、区別がつきにくいのですが、機能が異なります。
堰には、目的別に取水堰、潮止め堰、分流堰などがありますが、構造的には門扉をもった可動堰と、門扉のない固定した固定堰があります。堰は、普段は水を堰上げて利用に供しますが、洪水時には出来るだけ洪水をスムーズに流したいわけで、可動堰は門扉を開放しますが、固定堰は越流幅を広くとり堰上げ水深を低く抑えるために斜め堰にしたり、堰上げている石が洪水時に転がり落ちたり、さまざまな工夫がなされてきました。
一方、水門は洪水時に門扉を閉めて、堤防の代わりになるものをいいます。水門のうち、通水断面が小さく、函型のものは樋門、管渠型のものは樋管といいます。
Q181 ダムとは?
A181 水や取水、土砂止めなどを目的として、川を横断して造られる構造物の総称で、堰も英語ではdamと表現されています。しかし、日本では基礎地盤からの高さが15m以上のものをダムといい、堰と区別しています。ただ、砂防ダムは15m以下でも砂防ダムといわれています。
ダムは、特に20世紀になってから巨大なものが数多く造られ、水力発電や水資源開発、洪水調節に大いに貢献して、われわれの生活を豊かにしてくれました。しかし、川の物質循環を遮断し、いずれ土砂で満杯になり、機能を果たせなくなる欠点を有しています。無論、小さなダムは、洪水時に門扉を解放すれば土砂を下流に流すことが出来ますが、巨大なダムはそれができず、土砂も落葉も溜めこんでしまい、落ち葉は無酸素状態でヘドロ化し、水質を悪化させる原因にもなっています。
最近、やっと土砂吐けゲートを持ったダムや土砂バイパスを持ったダムなどが登場してきています。
Q182 近自然河川工法とは?
A182 コンクリート護岸を主体に直線化されてきた川をもう一度自然に近い形態の川に戻そうとする河川工法のことで、1970年代後半からドイツ、スイスを中心として始まったNaturnaher Wasserbauが翻訳されたものです。日本では、1990年11月に建設省から「多自然型川づくり」の通達が出され、そのため多自然型河川工法とも言われていますが、本質的には同じ思想に基づく河川工法と考えていいと思います。近自然河川工法は、根本的には自然と人間の共生にありますが、可能な限り人間の要求を抑えて、川ごとの本来の形態を取り戻し、地域固有の生物の多様性を再現することに主眼があります。言い換えれば、「川に川をつくらせる」という観点がとても重要であり、工事や維持管理にもゆっくりと時間をかけて、自然の循環に従うことが肝要です。