日本財団 図書館


Q152 私たちは、海から多くの資源を得ることができますか?

A152 答えは「いいえ」です。海水からの鉱物資源の回収は、岩塩および酸化マグネシウムに限られています。一般に、鉄や銅などの鉱物、石油や石炭などの燃料は、地殻中でそれらが濃集している場所(すなわち、鉱床)から取得します。鉱床とは、特定の元素や化合物が、他の場所に較べて10〜10,000倍濃集している地質体です。これに対して、海水の化学組成は世界中どこをとっても、ほとんど均質なため、海中では鉱床となるほど特定のイオンや化合物が濃集している場所はありません。

 

Q153 鉱物および燃料資源の立場から見ると、海は私たちにあまり貢献していないといえますか?

A153 そのようなことはありません。まず第1に深海底には未来の鉱物資源と期待されている鉱床があります。また、太陸棚にも多くの鉱床の存在が知られています。さらに、陸域の鉱床の生成に、海水が大きな役割を果たしてきました。

 

Q154 深海底、大陸棚、陸域とは?

A154 地球は、気圏、水圏、地圏(あるいは岩石圏)に分けられ、人類を含む生物はその境界付近に生息しています。地圏の最上部を地殻といいます。通常、気圏と地殻が直接している地域を陸(あるいは陸域)、気圏と水圏が接している地域を海(あるいは海域)といいます。流体圏の下の地殻は、色々な物理的・化学的性質の違いから、大きく大陸地殻と海洋地殻に分けられます。そして、両地殻の境目は、標高で-1,500m付近です。そこで、海水に覆われているが、大陸地殻が分布する部分を太陸棚といいます。正確にいいますと、大陸棚は水深200mまでです。また、水深が3,000m以上の比較的平らな部分を深海底といいます。この間が大陸地殻と海洋地殻の境界で、大陸斜面や海溝が存在します。ただし、鉱床の賦存場所として見た場合、両者ともあまり重要ではありません。深海底の所々に海底火山があり、これを海山といいます。海山の山頂が海面上に出ている場合、火山島と呼ばれます。海洋における資源を議論するときは、海洋を大きく水圏の海水と、岩石圏の太陸棚および深海底に分けておくと便利です。また、海岸付近の海(縁海)は一般に浅く、生物活動が盛んであり、所によっては海水と陸水が混合して、汽水環境が形成されているため、資源の形成上重要な役割を果たしています。そこで、縁海域を海域とは分けて定義しておきましょう。火山島の周囲にも縁海域が存在します。ただし、そこには汽水環境が存在しません。

 

Q155 深海底からは、どのような資源が供給されていますか?

A155 深海底に資源が存在することは分かっていいますが、また開発はされていません。そのため、未来の資源として期待されているだけです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION