A146 コンクリートの構造物は、型枠で大量生産しやすいために、自然界には存在しない形のブロックが造られ、水辺に設置されます。コンクリートから出るアルカリ分は「灰汁」などとも言われますが、水質を悪くするので水生生物には悪影響があります。そのため、ブロックなどは製作直後には陸上で雨風にさらして、その成分を抜いてから水中に入れます。コンクリートの表面にも海藻や付着生物が生息しています。生態や水産物の味の成分が、自然石とコンクリートで異なるかどうかは、研究が行われていて両方の説があります。
Q147 天然素材を使用することは“環境に良い”のですか?
A147 一般的にはそうです。しかし、天然素材を使用するということは、地球上のどこかの自然を破壊して、そこで取った物質を他の場所に移動させることですから、まったく環境を人間が改変すべきではないという立場からすれば、環境に悪いことになります。例えば、日本の河川や海岸でコンクリートブロックの使用を禁じて、自然石などを奨励するような施策の転換がありましたが、それに対応するために、石材が取れる山を崩して自然石を採掘するなどが行われています。瀬戸内海の家島、小豆島などでは、採石場の巨大な崖がありますし、土砂採取のために島が海面上の部分が無くなったところもあるほどです。このようなジレンマに対しては、解決は困難ですが、何が問題で利害がどうなるのかを充分議論して、吟味してから何かを行うことが重要ではないでしょうか?
Q148 絶滅が心配される生物が絶滅したら人間は困るのですか?
A148 地球上から1種ぐらいは消えても困らないと思う人も多いのですが、1種が消えることだけに留まらず、連鎖的に他のものも絶滅する点を指摘されます。生態系のなかで、その生物が消えることで餌が無くなったり、バランスが悪くなるなどの影響が起こることがあります。消える1種がホモ・サピエンスという人類かもしれないという警鐘でもあります。
Q149 地球温暖化で海面上昇したら生態系や人間社会はどのようになりますか?
A149 熱帯地方のサンゴ礁のお盆状の島は標高が低いので、海面上昇によって、水没する可能性が指摘されています。また、日本も含め、定置の平地には田畑があるので食糧を供給するエリアとなっています。そこが水没すると、世界的な食糧難が訪れるという予測もあります。地球の歴史からしても、海面の上下動は何度も起きていることです。水陸インターフェースゾーンに生息している生物は、人間も含め、海面上昇のスピードと規模に応答して生存していくことにならざるを得ません。日本のような低地に人口が集中している国では、巨大な護岸を造って壁の中の鍋底のような土地に棲むのか、高地に移住するのかの選択が迫られる可能性があります。