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A112 陸上での生活に役立つ手や足が進化するためには、その前提として、手足をしっかりと支える背骨が進化してくる必要があります。背骨つまり脊椎は、脊索動物の脊索が骨(椎骨)によって補強され、よりしっかりとした体の支えになったものです。脊椎をもつ動物は脊椎動物と呼ばれます。椎骨がつながってできた体の支えは脊椎とよばれ、神経(脊髄)を保護する役割も果たしています。脊索動物のピカイアは、まさに私たちも含まれる脊椎動物の進化の一歩手前に位置する祖先といえるでしょう。最も古い脊椎動物は、アゴの無い魚でした。この仲間の最も古いものは、オルドビス紀の地層から発見されています。多くのものは、体がしっかりとした骨性の板で被われていましたが、アゴは無く、体の下面にある口から泥をすいこんで、その中に入っている小さな餌をとって暮らしていたと考えられています。アゴの無い魚たちは、オルドビス紀の半ばからデボン紀にかけて繁栄し、様々な形のものが生まれました。

 

Q113 最初に上陸した脊椎動物の先祖はどのようなものですか?

A113 シルル紀の終わりからデボン紀のはじめにかけてアゴをもつ様々な魚が一斉に出現しました。アゴは、鰓を支える鰓弓と呼ばれる骨格が変化したものですが、大きな動物を捕食することを含めて様々な食料源を利用することが可能となりました。初期のアゴをもつ魚はわたしたちが普段見慣れている魚とは随分かけはなれた形をしています。たとえば棘魚(きょくぎょ)類と呼ばれるグループは背中やお腹に棘のようなヒレが生えていました。また、よろいをまとったような板皮類と呼ばれるグループもありました。板皮類の中には頭と胴の骨の間に隙間があって口を大きくあけて魚などを餌食にしていたと考えられる仲間もふくまれています。デボン紀後期のディニクチスはその最大のもので、体調は3メートル近くにもなりました。やがて、シルル紀後期には、サメ類を含む軟骨魚類や現在最も繁栄している硬骨魚類が進化してきました。堅い骨でできた骨格をもった魚が出現して初めて将来陸上で重力に耐えて体を支えることのできる骨格の原型ができたといえるでしょう。

 

Q114 硬骨魚類はどのように分類されますか?

A114 硬骨魚類の本流は細い骨が放射状に広がってできたヒレをもった条鰭類で、デボン紀の初めから現在まで、常に水中の動物界の主役の座を保ってきました。さて、デボン紀の海には、硬骨魚に属する別のグループがいました。ヒレの付け根が肉質なために肉鰭類と呼ばれています。肉鰭類は、肺魚、総鰭類、そしてシーラカンスの3つの仲間にわけることができます。この3つのグループは魚の歴史のなかでは、硬骨魚でありながら先程述べた真骨類に至る系統とは違って一度も華やかな繁栄の時代を持つことができませんでした。ところが、陸上を征服する脊椎動物はこの水中ではあまり繁栄しなかった肉鰭類の仲間から出現したのです。肉鰭類は、内鼻孔をもっていることで特徴づけられます。これによって、鼻と口とが鼻腔によってつながれていました。これは、もともと臭覚を高めるための発達したのかも知れませんが、やがて空気を呼吸するのにも役立ちました。

 

 

 

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