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これに対して、わが国のように、主として火山岩から成る層を通るとカルシウム、マグネシウムが少なく軟らかい水となる。また、ケイ素(ケイ酸態ケイ素)を多く含む、昔はこれが日本人の高血圧病の原因とされたこともあった。

 

Q47 火事のとき水をかけるのはどうしてですか?

A47 火がついたとき水の勢いで炎を鎮めることができるので、安価で大量に入手しやすい水が利用されます。少し考えると次の様な点もあります。水は蒸発するとき1g当り540カロリーの熱量を吸収します。これも有効にきく部分もあるでしょう。最も大切なことは、水は非常に安定な物質であるということです。1,500℃でおよそ0.02%、2,000℃でも0.5%が水素と酸素に分解するにすぎません。火事では最初の頃には800℃、最も盛んなときでも1,300℃位といわれていますので水はこの温度では分解しないと見てよいでしょう。水素と酸素ができてこれが燃えたら大変です。しかし、水は大きな表面張力をもっているので水滴になりやすく表面を“ぬらす”のに不便です。水圧で炎を吹き飛ばすと、下の物がこわれます。特殊の火炎のときには界面活性剤を入れた消化液を霧状にして火を消す場合があります。これは、表面をよくぬらせて酸素(空気)との接触を断つための方法です。

 

Q48 海水より塩分の濃い水は天然にありますか?

A48 海水はおよそ3.5%(1kgの海水中に35g)の塩分をふくみます。生物体の塩の濃度はこの約五分の一(0.7%位)でこれが生理的食塩水としてよく用いられる濃度です。よく知られている死海は周辺の河川が塩分を運び水が蒸発するので塩分濃度が高くなり、一部、塩が析出しますが塩分の量は1kg当り262g位で海水のおよそ7.5倍です。ここでは人が浮くので水の中に横になって本が読めます。ところが、南極のドライバレーという所のドンファン池というのは、何と1kg中に392gの塩分を含み、海水の11.2倍位です。勿論、これは、低温で海水が濃縮され、非常に乾燥した地域であるという特殊性の結果です。普通、乾燥剤として用いられる塩化カルシウム(通称塩カル)がCaCl2-6H2Oという形で結晶として生成しています。火山から湧出した水では1kg中に約600gの物質が溶けていた例があります。これは海水の17.1倍に相当しますが、60℃でとけはじめ80℃で粘性のある液体となり、100℃でようやく液体になるという特殊なもので勿論、海水とは組成も異なります。

 

Q49 NOx、SOxは国境を越えて500km〜1,000km大気中を動くそうですが、人類が放出したCO2は地球全体に拡がるのはどうしてですか?

A49 昔の公害問題で、河川水の中の重金属は河口付近に堆積しました。これは、海が、アルカリ性で重金属が水にとけていられなくなる化合物になるためにおこる現象です。NOx、SOxは、大気中で最も酸化された状態では水にとけやすく降水により地表に降下します。これは、大気中を雨水が洗う浄化作用として重要なのです。最近のように、NOx、SOxが多すぎると、酸性雨の問題になります。

 

 

 

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