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Q44 海では主成分の比はほとんど一定ですがどうしてですか?

A44 海の水は場所により濃度は異なるが、含まれている主成分のイオンの比、例えばナトリウムイオン(Na+)とカリウムイオン(K+)の量の比は、どこの海域でも同じである。海の水の密度は、温度と塩分含有量できまり、異なる密度の水は短時間では簡単に混合しない。しかし、海洋には風によりひきおこされる表面海流があり、密度差によって生じる深層海流がある。グリーンランド沖で海水が凍ると氷は純水となるので、氷の下に低温で高密度の海水が生成する。これは、沈降し大西洋の中深層水となり南極に到達するのにおよそ700年かかるという。ここで東へ向きを変え南極の周辺を流れ南極での沈降流と混合し、太平洋を北上し、東へ向きを変えアメリカ西海岸にうきあがる。ここまででスタートから2,000年かかるという。何億年、あるいは20億年、30億年という長い間、このようなタイプの循環があれば海洋水は非常に長い目で見ればよく混合していることになろう。海洋の主成分濃度は海洋底の粘土鉱物との平衡で説明されているが成分比によく混合したから一定ということになる。

 

Q45 酸性雨はpH5以下の酸性を示す雨といいますがどうしてですか?

A45 地表から蒸発した水は大気中で大気中の二酸化炭素を溶解する0.03%〜0.04%の二酸化炭素と平衝にある水のpHはおよそ5.6である。これより酸性なら二酸化炭素以外の酸性になる原因の物質を溶かし込んでいることになる。そこで、pH5.6より酸性の雨を酸性雨と定義したことがある。ところがアメリカなどでは昔から5.0以下としていた。また、海洋とくに沿岸地域ではプランクトンから硫化ジメチルという化合物が放出されることがわかってきた。硫化ジメチルは空気中で酸化されると二酸化炭素とSOxになる。そこで、沿岸地域では、現在のような大気汚染が著しくなる前からpH5位の雨が降っていた可能性がある。そこで、現在では、pH5より数値の小さい、より酸性の雨を酸性雨としている。NOx、SOxがその主な原因であるが日本では脱硫がすぐれているので、内燃機関から主に発生するNOxの酸性雨に対する寄与が諸外国にくらべて大きい。世界的には酸性雨の主な原因にSOxである。

 

Q46 所変われば水変わるというのは本当ですか?

A46 ここで、水変わるというのは水質の差を意味している。水そのものの分子は変わらないので水分子存在状態も現在では問題にされているが、ここでは水質の差でみることにしよう。人類が用いている淡水は最初は井戸水であったと思われる。井戸水は地下水であり、一般には河川水の中にも地下水が混入している。地下水は地表に降った雨が地下に浸透してできたものであるから、多くの地層を通過している。その間に可溶成分を溶かして出てくる。特に雨水は二酸化炭素(CO2)を含むので石灰岩地域ではカルシウム(Ca)とそれに伴うマグネシウム(Mg)を溶かして出してくる。ヨーロッパのように堆積岩や石灰岩地域を通過した水はカルシウム、マグネシウムに富みいわゆる硬い水である。

 

 

 

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