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探査機本体に積まれた機器による小惑星の広領域にわたる可視、近赤外域でのスペクトル観測、地形観測、元素組成データ、実際に地球に持って還られるサンプルから得られるデータ、そしてマイクロローバーの搭載機器から得られるマイクロスケールでの表面物質の観測データ、重力計測による密度のデータ、さらには地球からの望遠鏡による表面スペクトル観測データを相互に比較・検討することによって、表面物質の空間的に異なったスケールでの物質同定と物質分布が得られ、このような分布を生むに至った小惑星の物質的進化のシナリオが、現実味をもって描けるようになると考えられている。このデータは、水がどのような過程で鉱物の中に蓄えられるようになったかを、この小惑星のサイズでの情報として提供してくれる。

 

Q10 ミューゼス-Cはどうやって試料を採取するのか?

A10 試料採取装置(サンプラー)は、このミッションにおいて中心的な科学機器である。一般に固体表面を持つ天体に外部から隕石などが衝突してまきあげられた破片のうち、脱出速度以下のものが表面に降り積もって、レゴリスと呼ばれる表土が形成される。脱出速度が数10cm/sという小さな小惑星上にレゴリスが十分な厚さで存在できるとは考えにくいが、まったくないとも言い切れない。岩盤が露出している場合も予想される。5g程度の小弾丸を小惑星表面に約300km/sの速度で発射し、小惑星表面から跳ね上がる破片をラッパ状のホーンで覆うことによって捕集する。小惑星とはホーンの先端が一瞬接触するのみである。低重力下なので破片はホーンに内部を効率よく上昇し、上端に取り付けられた小さなサンプルキャッチャーの中に入る。サンプルキャッチャーは探査機側面に取り付けられた再突入カプセル内に収納され、しっかりとシールされる。

 

Q11 コメットから試料を採ってくるスターダスト計画とは?

A11 C型小惑星とともに地球に水をもたらした候補の一つコメット探査は、まもなく始まろうとしている。NASAのディスカバリー探査の一つで、この探査はスターダスト計画といわれるものである。1999年2月6日に打上げらた。コメットWild 2からはき出されるチリを取ってこようという計画である。チリを取るには、シリコンをもとにしたスポンジのような物で、アエロゲルと呼ばれるものを使うような工夫がされている。高速で飛んでくる塵を壊すことなく捕らえる。このアエロゲルをコレクタに張り、コメットの近くに探査機が行くと、これを立てて、コメットからはき出されるチリがこのスポンジの中に潜り込み、減速されて途中で止まる。このようにして集めたチリのスポンジを再突入カプセルにしまい、地球に持って帰るという計画である。得られるサンプルは、非常に微小なものなので、電子顕微鏡で観測しなければならない。再突入カプセルは2006年に回収される予定である。

このような探査の対象となるコメットや小惑星は、文字通り星の数ほど有る。海の源の水を求めての旅は果てしなく続だろうが、いまやっとそのスタート点に立ったといえる。

 

 

 

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