Q12 小惑星エロスのNEAR探査機による観察の成果は?
A12 小惑星探査機のNEARは、マチルダに接近して写真を撮った後、最終目的の小惑星であるエロスに到着し、2000年2月よりその周回衛星として、表面の形や化学組成、物質分布を詳しく探査する予定である。1999年に接近したときのトラブルにより、周回衛星となることに失敗した。再接近し周回衛生になることを試みる予定である。このエロスは、炭素質コンドライトのような物質ではなく、S型小惑星と呼ばれる、もう少し物質的に進化した小惑星である。
NEAR探査機は、1998年のエロスへの最接近の際、その近接映像を得る事が出来た。その形は33×13×13km、密度は2.5g/m3と決定された。そのブーメランのような形のモデルがつくられている。2000年2月には、エロスの回りを周回する軌道に入り、より解像度の高い地図と、スペクトル観測による物質分布図がつくられる予定であるので、目が離せない。
エロスは近地球小惑星と呼ばれる小惑星の代表的なもので、地球の近くまでやってくる。その反射スペクトルの観察から、地球をつくったコンドライト的物質が少し変化したS型小惑星に属する。この種の小惑星がどんな隕石に対応するかについては、いろいろの意見が出されている。最近、南極隕石の中に幾つか発見された始原的化学組成をもつが、組織は分化した隕石に近いグループに相当すると言う説が提唱されている。コンドライト的物質が加熱され高温になり、部分的に溶けて、金属鉄と珪酸塩鉱物が分離したものと考えられている。この探査でエロス小惑星の場所による化学組成の変化が検出されれば、隕石との対応が良くつくと期待される。
B 水惑星成立のプロセス
Q13 マグマの海とは? 冥王代(45.6億年前)
A13 微惑星の衝突により形成された地球は、最初は岩石と金属鉄の混合物であった。微惑星の衝突・合体が繰り返され地球が成長し、衝突脱ガスにより水蒸気と二酸化炭素を主成分とした大気が形成された。微惑星衝突で発生した熱エネルギーは、大気の覆いによって宇宙空間に放出されにくくなった。大気の温室効果によって地球表面は高温となった。岩石が溶けマグマの海が形成された。マグマの海の中では、密度の大きい金属鉄が沈み、地球の中心に落ち、核を形成した。マグマの海は、宇宙空間への熱の放出によって、冷め、原始の地殻が形成された。
Q14 最初の大気とは? 冥王代(45.6億年前)
A14 地球は太陽系の他の惑星とともに原始太陽系星雲ガスのなかで形成された。惑星形成初期には星雲ガスの主成分である水素とヘリウムが原始太陽系大気(一次大気)を形成した。