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あとがき

 

本研究報告の構成は、多くの研究者による多面的な研究展開についての総説が一つの流れをたどる形で展開されている。それは、言うまでもなくおおよそ地球史の順序にしたがった“水物語”シリーズであるが、私達にとって身近な「海岸科学」を軸にした一つのシナリオであって、決して全てのアプローチや素材が網羅されているものではないことは自明である。高度に複雑なメガシステムについての理解を目的にするのであるから、全く異なった筋書きが可能であろうし、幾つものルートが拓かれること自体も望ましい。本研究は、そのようなトータルな水惑星の総合的理解のスタート台として、全容にふれる形で基盤整備を試みたものと理解していただければ幸いである。

なお、研究内容そのものは研究者の科学的研究姿勢を記したものであるから、高度に専門的でもあり一般への普及はそのままの形では無理を伴う。したがって、本論にその中軸的コンテクストを述べたものを収載し、普及に寄与するいくつかの判り易いQ&A集を別冊として付することにより、研究成果の今後への利活用を推進できるよう配慮してある。

ちなみに、日本科学協会の科学研究として、これまでにも日本財団の助成を受けた下記の活動があり、本研究のバックグラウンドをなしていることを付記しておく。

「超領域科学としての海洋研究」

さらに、本研究の内容的展開の一局面として2001年からは

「水域環境をめぐる学習活動等の成果公表支援」

が実施されることになっていることも申し添えておこう。

以上の一連の“水環境”関係を取り上げる当日本科学協会の事業を推進する基本姿勢として、次の諸論文に記された情況分析や総説の主旨があり、さらにそれらは、今後の研究普及活動に活かされるものでもある。

A 1987:「海と文明」濱田隆士著(東京大学教養講座16、326pp. 東京大学出版会)

B 1989:「生態学的海陸インターフェイスとしての汀の重要性」濱田隆士著 (採集と飼育・51巻11号、p.480.)

C 1991:「地史的物質循環におけるサンゴ礁の生態学的役割」濱田隆士著 (月刊海洋、23巻12号、pp779-784. 海洋出版)

D 1993:「海陸インターフェイスの地球環境的意義」濱田隆士著 (地質学論集39号「続湖沼の成因と環境・地質」、pp173-175 日本地質学会)

E 1998:「子供達に海の実在感を! ミラクル・プラネットに生きる(40)」濱田隆士著 (世界と人口・JOICPF、pp70-71)

 

 

 

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