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その後、西暦864年の長尾山を源とする貞観青木ヶ原溶岩流によって背の海の大部分(現在の青木ヶ原北部)が埋め尽くされ、西湖と精進湖がそれぞれ形成された。

西湖(標高904m)の湖水は青木ヶ原溶岩をとおして、本栖湖(標高902m)の地下水とつながっている。この地下水脈に精進湖(標高925m)の湖水の水もつながっている。

 

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本栖湖 精進湖 西湖 山中湖の水質は比較的低濃度で、Ca-HCO3-に富む。河口湖の水質は忍野八海の涌池(忍)に似て、溶存成分が比較的高く、Ca-HCO3-に富む。

 

(4) 精進湖

精進(しょうじ)湖の面積は0.5km2で富士五湖中最も小さい湖である。

 

(5) 本栖湖

本栖湖の面積は4.7km2、透明度は富士五湖の中で最も大きい。

西湖(標高904m)、精進湖(標高925m)、本栖湖(標高902m)の3湖は青木ヶ原溶岩中の水脈をとおしてつながっていて、本栖湖の湖水は、水位が900mをこすと青木ヶ原溶岩流中の地下水脈をとおして南方の静岡県の方向に流動するといわれている。

 

4 富士山東斜面の地下水

三国山、大根山と続く山梨県と静岡県の県境の尾根は富士山の基盤を構成する御坂層で構成されていて、この尾根を越える国道138号線の籠坂峠付近には御坂層が広く露出している。

富士山御殿場登山道を中心に鮎沢川水系が発達し、富士山北東斜面の湧水を集めて、小山町を流れ、神奈川県に入って酒匂川となり、足柄平野から相模湾に注ぐ。

この地域では地下水は比較的浅く、西暦1707年の宝永噴火の火山砂礫層の下に2,300年前の新富士火山泥流堆積物、厚い黒色の火山灰層、その下に火山砂礫、更新世末期の古富士火山泥流堆積物が重なり合っている。宝永火山砂層の地下水と、新富士火山泥流堆積物と古富士火山泥流堆積物の間の火山砂礫層に被圧状態の地下水がある。この地域では、昔から数mの浅井戸を掘って、宝永の火山砂層の地下水を利用している。このあたりの地下水は宝永火山灰の分布など、富士山の火山灰と深い関わりを持つ。

富士山の南東斜面に源を発した黄瀬川水系は、箱根山地西麓の沢の水もあわせて愛鷹山、箱根山の間の谷を南下し、三島市を経て狩野川と合流し、駿河湾に流出する。富士山の南東麓、黄瀬川西方の大野原一帯では、地下に厚い数枚の古い溶岩流(津屋の新富士火山旧期)が分布し、浅い地下水が得られない。

 

 

 

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