日本財団 図書館


鉱物鉱床は、石油や石炭などの燃料鉱床に較べて、鉱床の存在位置を規制する地質構造の規模が小さい。このため、弾性波探査では鉱床の存在位置をほとんど絞り込めない。また、弾性波探査等の物理探査では、岩石の物性値の空間的分布しか把握できない。これに対し、鉱床特に鉱物鉱床では、化学的性質の空間的分布を把握する必要がある。そのためには、各地域において物性値と化学組成との関係を知る必要がある。そのためには、実際の試料を手にしなければならない。この試料の採取に経費が嵩むため、海域での鉱物資源の探査は敬遠されている。

 

10. まとめ

以上述べてきたことから明らかなように、海水および海産物、深海底のマンガン団塊、海山の富コバルトクラスト、拡大軸や背弧海盆の海底熱水成鉱床、海洋底下のメタン水和物鉱床など海洋独自の資源はもちろん、大陸棚や純粋の陸域に分布が限られる石油、石炭、鉱物資源の鉱床も、海洋が存在しなければ、ほとんど形成されなかったと結論される。

 

注1. 白石が30個、黒石が70個入った袋から、石を1個取り出して白か黒かを記録したのち袋に戻すという操作を100回繰り返し、これを1回のデータ取得とする。各データ取得で記録された白石の数は必ずしも30個とはならない。そこで記録された白石の数とその記録回数(頻度)を表にするとともに、両者の関係をグラフで表示する。このグラフ(頻度図)では、通常、頻度は白石が30個付近で最も高く、それより少ない側にも多い側にも低下してゆく。統計学的には、この頻度図は正規分布で近似できる。逆に、頻度図が正規分布で近似できるようなデータが得られた場合、データは1つの母集団に属している(1つの袋から取り出された)と見なす。次に、この袋をAと名づけるとともに、別の袋8を用意して、そこには白石を60個、黒石を40個入れる。今度は、袋AかBかは分からないようにして、袋から石を100回取り出して、白石の数を記録する。このとき頻度図を描くと、頻度図は白石が30個付近と60個付近に峰が現れる。これは白石の数が異なる2つの袋(すなわち、統計学的性質が異なる2つの母集団)からデータが取り出されたためである。そこで、逆に、二峰性の頻度図が現れた場合、そこには性質の異なる2つの母集団が存在すると見なす。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION