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メキシコ湾、ペルシャ湾などの石油鉱床は、その開発が陸域から海域へと進んでいった。また、北海油田はすべてが海域に存在する。海底石炭鉱床も開発されている。しかし、その割合は、石油鉱床に較べて微々たるものである。さらに、海底下の鉱物鉱床に至っては、まったく開発されていない。これらの相違が生じた原因については、後述する。

表1によると、マグマ成鉱床のすべてと熱水成鉱床のほとんどは陸域で生成している。しかし、その生成には海が大きく関与している。前述のように、海洋地殻が大陸地殻の下に沈み込んで、ある深さ達すると、マグマが発生する。逆に、ある深さに達しないと、マグマは発生しない。このため、火山は海溝付近の大陸棚には存在せず、内陸側へある幅入った位置に在する(火山が存在する地帯で、最も海溝に近い部分を火山フロントという)。これが、マグマ成鉱床と熱水成鉱床の大部分が陸域に存在する理由である。しかし、これらの鉱床の生成にとって、海、特に海水は大きな役割を果たしている。マグマは珪酸塩の溶融体であるが、その溶融に水が大きく関与している。珪酸塩の溶融温度は、無水の条件に較べて、水の存在下で200〜300℃低くなる。海洋地殻は大洋底を海嶺から海溝へ移動するとき、海水と反応して、完全に水和している。したがって、この海洋地殻が沈み込み帯で地殻内部に引きずり込まれると、そこには海水起源の水が多量に存在する。このため、珪酸塩の融点が低下して、容易にマグマが発生する。このマグマが固結するにつれて、残液にはH2Oなどの揮発成分が濃集する。斑岩型鉱床の金属を運んだ熱水は、このマグマ残液から分かれたと考えられている。また、マグマの熱により周囲に熱水対流系が形成される。この対流系の水の大部分は陸水起源と考えられているが、海水起源の地層水もかなりの量含まれているはずである。なお、水の起源を示唆する有力な指標として酸素と水素の同位体がある。しかし、上記の熱水系はすべて周囲の岩石とこれらの同位体の交換を行っているので、それから水の起源を探ることはできない。

 

9. 海域における資源探査

海底および海底面下の探査を考えた場合、大気下の陸地より有利な点がいくつかある。最も有利な点は、弾性波探査(地震探査や音波探査の総称)が容易に利用できることである。弾性波は、密度の異なる物質の境界面で反射される。この反射波を受信することにより、物質の密度の違いを遠隔で測定することができる。これが弾性波探査である。海域では、音の発生器と受信器を船で曳航することにより、ほとんどあらゆる場所で音波探査の適用が可能である。まず、音波は海水と海底堆積物の境界で反射される。これにより、海底地形が測量される。次に堆積物中に入った音波は、堆積物の密度が変化する面で反射される。未固結の堆積物と固結した堆積物では、密度が大きく異なるため、音波は容易に反射される。これによって、メタン水和物層が発見された。

石油鉱床の位置は、堆積岩の大きな地質構造に規制されている。このような構造は、地震探査の格好の対象物である。発見された石油は流体であるため、比較的容易に地上ないし海上に取り出すことができる。これが大陸棚の資源で、石油が最も多く開発されている理由である。

石炭鉱床も層状であり、弾性波探査の適用が可能である。しかし、石炭は固体であるため、未だに人がこれら資源の存在する場所に入ることによって、採掘されている。このため、深部の開発はコストが嵩む。これが、海底の石炭鉱床が少ない理由である。

 

 

 

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