〔研究結果 3〕
水資源は有限か無限か
水惑星プロジェクトという地球環境の最大の問題を考えるとき、最後にまとめておかなければならないテーマが実は地球上における水資源は有限か無限かということである。ここでは、この問題について、最近の環境問題とも合わせて考察する。
地球上の水の97.5%は海洋に存在し、人間が利用できる分は淡水に限られその量は残りの2.5%で、そのうち1.7%が氷であり河川水は水全体から見ると1万分の1%にすぎない。
しかし、太陽のある限り地表面からは蒸発がおこり、これは水の純粋化であり、これが雨として降る時は大気を浄化している。人為的大気の汚染がなければ酸性雨の問題もなく、単に水の浄化作用により大気は清浄なものにされるはずである。
大気中の水は10日に1回の割合で入れ替る。これを大気中の水の平均滞留時間という。水の平均滞留時間は海洋では3200年、地下水では830年と見積られている。地下水の枯渇は地下水の平均滞留時問より早い時間スケールで地下水を利用しているからである。要するに、水が溜まるよりも早いタイムスケールで汲み上げるから枯渇するのである。
地球上での人類の水使用量は1900年の年間500km3から2000年における5300km3と10倍に増加している。
地球の水の収支をみると、総流出量は4万km3であるがそのうち3.6万km3は洪水流量で利用不可能で基底流量の1.4km3が人間の利用可能な分である。しかし、このうち5000km3は人間の住む所ではなく、9000km3が開発可能な水の量である。しかし、これも単純計算すると、現在の人間の平均水使用量を年間1人当り、350〜450m3とすると、200〜250億人分となる。
しかし、この水は地球上の生命体に分け与えられるべきものであり、実際には水は不足している。
人類の活動と関係なく地球上では水は蒸発し、冷却され降水として地球表面にもどる、その点では水資源は無限の利用価値をもつものである。しかし、循環のタイムスケールを誤ると水は有限な資源である。水惑星地球で水資源は有限であり無限であるということを認識すべきである。