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また、原石の研究のために破壊する以前の写真のコピーを入手した。これらの電子映像の詳細な研究により、水質変成の起こった時、およびその後の脱水時にできた割れ目などの分布より、コメットから始原的小惑星への変化の過程を追うことができる。

この種の隕石で最初のものであるアレ(Alais)隕石も、オルゲイユ隕石の落下より少し前にフランスに落下し、フランスの高名な科学者ベルツェリュースにより詳しく分析された。その関係もあり、1864年にトゥルーズの北にあるモントーバン南東のオルゲイユ村付近に落下したこの隕石は、多くの科学者の関心を引き研究された。有機物や水を多く含むことで、多くの議論をかもし出した。

今回のモントーバン訪問で、その落下地点の写真、落下モニュメントの存在など、落下にまつわる多くの記録を収集した。特にモントーバンのアングル美術館の隣にある、自然史博物館には、パリ国立博物館のものより大きい、落下したままの状態に一番近い原石試料があることを確認し、映像を取得した(付属資料「フランス・オルゲイユに落下した隕石」)。もう1つ展示されている博物館には、トゥルーズの宇宙科学博物館があることがわかったが、日程の関係で調査できなかった。

この隕石の落下の様子を再現する多くの試料も入手した。この古い文献を日本語に訳し、その状況を記録した。隕石落下の様子を一般の人が興味を抱く映像として表現するための風景写真の収集も行った。もっとも面白いと思われるのは、世界遺産に登録されているカルカソンヌに残っている中世の古城を背景に落下している隕石という構図である。カルカソンヌ南方からの映像より合成した写真を試作した(付属資料「フランス・オルゲイユに落下した隕石」)。

炭素質コンドライトには、この他幾つかの種類があり、オルゲイユ隕石のような水を最も多く含む隕石は数少ない。有名なアエンデ隕石などを含むもう一つグループにCVがある。今回このCVの代表であるヴィガラーノ隕石についてもドキュメントを収集した。イタリアはフェッラーラの近郊ヴィガラーノに落下したもので、イタリア語の文献より、落下の様子と、その隕石の最初の記載を収録した。落下直後のこの隕石の全体像をとどめる写真を入手したので、その写真を添付資料として提出する。

 

3.2 隕石中の水を含む鉱物

では、この隕石の中のどんな鉱物に水が含まれているのか。水はどこでこれらの鉱物に蓄えられたかを、この種の隕石があった微惑星上のイベントとして理解できるようになった。最近の研究で、このオルゲイユ隕石は微惑星で氷とカンラン石、輝石などのチリの混じったものの一部が溶けて地球上の粘土鉱物ができるように変化したものと考えられているが、その過程を明らかにするため、学会で研究者との研究討議を行った。地球に水を運んだもう一つの候補であるコメット(彗星)は、このような変化を受けてないチリと水が混合した物だという提案がある。しかし、水は鉱物の中に閉じ込められないと、地球や太陽近傍に来た時、加熱で失われてしまう。これを解決するには、これらの小天体から、試料を採ってくる必要があり、探査計画が進んでいる。

水を含む炭素質コンドライト隕石は、水を含むといっても水や氷などの形で含まれているわけではない。コメットの中の水は、氷と細かい鉱物の粒が交じり合ったものだといわれている。コメットのような物質が太陽に近づいてくると、水は蒸発してしまい、地球にぶつかる軌道に乗るまでかなりの水が失われてしまう。この水を隕石の中に固定してしまうには、少々の加熱では失われないように鉱物の中に取り込んでしまう必要がある。

 

 

 

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