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b) 鞭虫症

鞭虫感染者はケラ・セルジャン村で199名中2名(1.0%)が検出されたが、バンザ村では63名で1名の陽性者も見出されていない。ウワンゴ診療所では厚層塗抹法のみで241名中1名(0.4%)が陽性であった。なお、ケラ・セルジャン村における陽性2名の中、1名は厚層塗抹法でのみ虫卵が検出され、MGL法では陰性であったが、他の1名は逆にMGL法による検査で虫卵が証明されており、厚層塗抹法では陰性であった。従って鞭虫症の診断のためには厚層塗抹法とMGL法の両法による検便が必要である。現地での厚層塗抹法による検査で鞭虫卵が陽性であった者に対してはサイアベンダゾールの投与を行い、MGL法で虫卵が検出された陽性者に対しては来年度にメベンダゾールあるいはサイアベンダゾールの投与を行う予定である。

 

c) 肝鞭虫卵陽性者

今回はMGL法による検便の結果、ケラ・セルジャン村の住民の便から肝鞭虫卵が1名検出されたが、本来は鼠の肝臓に寄生しているものであり、一過性のものではないかと思っている。来年度の調査・検診の折に鼠を食するかなどの問診を行って判断する予定である。

 

d) 蛔虫症

蛔虫感染者は厚層塗抹法によりウワンゴ診療所で241名中12名(5.O%)が陽性であったのみで、ケラ・セルジャン村およびバンザ村からは厚層塗抹法とMGL法の両法併用検査でも陽性者は認められず、全体では503名中12名(2.4%)が蛔虫感染者であった。蛔虫卵の陽性者に対してもコンバントリンの投与を行った。

 

e) マンソン住血吸虫症

厚層塗抹法でマンソン住血吸虫卵が陽性であったのは、ケラ・セルジャン村で199名中21名(10.6%)、ウワンゴ診療所で241名中5名(2.1%)であり、厚層塗抹法とMGL法の併用検査ではケラ・セルジャン村で199名中54名(27.1%)、バンザ村では63名中すべて陰性であった。参考までに1979年以降毎年経時的に検診を行っているケラ・セルジャン村の過去の成績を眺めてみると、35.9%、27.4%、26.0%、13,2%、19,8%、14,4%、19.1%、13.5%、16.1%、10.3%と減少し、ゲリラ出現で3年間検診を行わなかった1991年には、26.1%と以前の陽性率にまで戻り、その後は11.9%、17.9%、12.4%、17.5%(1995年)となり、政情不安により3年間の検診休止の後である昨年は16.4%、今年は27.1%と殆ど陽性率の変化は認められていない。なお、ケラ・セルジャン村の併用検査で虫卵が陽性であった54名の中厚層塗抹法のみで虫卵が検出されたのは9名(16.7%)、MGL法のみで検出されたのは33名(61.1%)、両者で検出されたのが12名(22.2%)であった。

 

 

 

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