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なお、バンザ村で便量の少なかった4名については厚層塗抹法のみを実施し、検査終了後に便を提出した別の4名についてはウワンゴ診療所に持ち帰って、MGL法による処理を行い、他の検体とともに日本に持ち帰って検査を行った。ウワンゴ診療所での受診者241名については現地での厚層塗抹法による検便のみを実施して蠕虫卵検索を行った。

 

c) 尿検査

これまでの検診結果で、ビルハルツ住血吸虫卵陽性者の殆どがウワンゴ診療所から検出されていることから、ウワンゴ診療所では血尿を認める者および排尿痛などビルハルツ住血吸虫感染が疑われる者の129名について尿を提出させ、約3,000rpm15分間遠心沈澱して、その沈渣を鏡検してビルハルツ住血吸虫虫卵の有無に関する検査を行った。

 

3) 治療方法

ケラ・セルジャン村、バンザ村およびウワンゴ診療所で行った厚層塗抹法による検便で蠕虫卵陽性であった者には抗蠕虫薬を投与した。すなわち鉤虫卵、蛔虫卵陽性者に対しては日本から供与薬品として持参したピランテル・パモエイトであるコンバントリンを、鞭虫卵陽性者に対してはサイアベンダゾールを、マンソン住血吸虫卵および小形条虫卵陽性者に対してはプラジカンテルを投与した。また、ウワンゴ診療所で実施した検尿でビルハルツ住血吸虫卵が陽性であった4名に対してもプラジカンテルを投与した。なお、バンザ村では昨年度の検診結果で糸状虫のミクロフィラリアが陽性であった者に対してはジエチルカルバマジンを、マラリア原虫が陽性であった者にはクロロキンを投与した。その他ケラ・セルジャン村には寄生虫陽性者が検出された場合に備えて郡長であるサヨ氏にコンバントリンとクロロキンを供与して保管を依頼し、ブアール病院、バンザ村の診療所およびウワンゴ診療所にはコンバントリン、サイアベンダゾール、プラジカンテル、クロロキン、メトロニダゾールを供与して、ブアール病院では医師と看護士に、バンザ村の診療所およびウワンゴ診療所では、看護士に寄生虫症の患者が検出された場合には投薬を実施するように依頼した。

 

4) 検査成績

糞便および血液の各検査成績をまとめると以下の通りである。

 

A) 糞便検査による蠕虫卵検査成績

厚層塗抹法のみでの糞便検査により見いだされた寄生蠕虫卵陽性者の成績を纏めたのが表1である。即ち全検査者503名の中厚層塗抹法による蠕虫卵の陽性者は121名(24.1%)であった。その中、ケラ・セルジャン村では199名中69名(34.7%)、バンザ村では63名中13名(20.6%)、ウワンゴ診療所では241名中39名(16.2%)で、ケラ・セルジャン村の陽性率は高く、首都バンギー地区のウワンゴ診療所の陽性率は低かった。

 

 

 

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