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質問1:最近、体のどこかに具合が悪いところがありますか。

a) 発熱 b) 頭痛 c) 下痢 d) 血便 e) 腹痛 f) その他

質問2:排便の際、トイレを使いますか。

a) いつも使う b) しばしば使う c)ときどき使う d)まれに使う e)使わない

質問3:普段、どのようなトイレを使っていますか。

a) 川にする b) 水洗式トイレ c) 穴を掘ったトイレ d) その他

質問4:あなたやあなたの家族は、日常生活の中で川の水を使っていますか。

a) はい b) いいえ

質問5:(質問4に関して)もし使っているのなら、どの位の頻度で使いますか。

a) 毎日 b) 一日おき程度 c) 週1回程度 d) まれに使う

質問6:「住血吸虫症(schistosomiasis)」という寄生虫病を知っていますか。

a) はい b) いいえ

質問7:(質問6に関して)もし知っているのなら、その寄生虫がどのようにしてヒトヘ感染するか知っていますか。

a) 虫卵が口から入って感染する。 b) 川の水に触ると感染する。 c) 蚊に刺されて感染する。 d) 患者と接触して感染する。

 

得られた回答を表3にまとめた。特に気がついた点は次の通りである。1]どの地域においても、トイレを常用する児童はきわめて少なく、大部分が近辺の森や草むらなど野外で用便する状況が明らかとなった。野外に排泄された糞便内に含まれるメコン住血吸虫の虫卵が、中問宿主貝への感染となっているのであろう。2]上流域の各地点では、ほとんど毎日メコン川の水を利用しているのに対して、下流域のKanh ChourやTa Meangでは、川水との接触が比較的少ない。このことも、メコン住血吸虫症の流行程度に影響しているのかも知れない。3]Preah RumkalやKbal Chuorなど、メコン住血吸虫症の流行が高度な地点では、「住血吸虫症」を知っている児童の割合が大きく、人体への感染経路についても理解していた。国立マラリアセンターのスタッフによれば、毎年駆虫薬を配布する際に衛生教育もあわせておこなっているとのことだったので、その成果のあらわれであると考えられる。

ヒトは、メコン住血吸虫症の被害を受けると同時に、メコン住血吸虫の好適な宿主としてその生活環の維持に深く関与する存在である。したがって、流行地の住人がメコン住血吸虫症について正しく理解して、その撲滅に向けて具体的な行動をとることで、メコン住血吸虫症の流行をかなりの程度まで抑えることが期待できる。今回のアンケートでは、住血吸虫症についてある程度の理解をしている児童でも、トイレの使用など具体的な行動には結び付いていない実態が明らかとなった。正しい「理解」が、具体的な「行動」に結び付くまでには大きな壁がある。適切な衛生教育を根気強く継続する必要がある。

 

 

 

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