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4) 保虫宿主動物(イヌ)を対象としたメコン住血吸虫症疫学調査

ラオス国では、古くからイヌのメコン住血吸虫感染例が報告されており、イヌがメコン住血吸虫の好適な保虫宿主であることが知られている。カンボジア国では、イヌのメコン住血吸虫感染例はこれまで報告がないが、同国でもイヌがメコン住血吸虫の生活環の維持に関与しているものと推測し、イヌのメコン住血吸虫感染例の検出を試みた。方法としては、メコン住血吸虫の高度流行地であるKbal Chuorで、人家周辺でイヌの糞便を採集した。この糞便検体をホルマリン・ディタージェント法により処理した後、検体中に含まれるメコン住血吸虫卵を光学顕微鏡下で検索した。検査の結果、全28検体のうち1例からメコン住血吸虫の虫卵が検出され、虫卵密度は糞便1g当たり50個と算定された。イヌにおけるメコン住血吸虫感染例が検出されたKbal Chuorの他にも、調査地域内においては多数のイヌが放し飼いにされているのを確認しており、カンボジア国内において、イヌがメコン住血吸虫の好適な宿主としてその伝播に重要な役割を果たしていると考えられる。

 

 

 

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