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授業は英語で行われており、テキストも英語であるため、卒業後にアメリカをはじめとする海外で働いたり勉強したりする医者が多いという。このことについて副学長にコメントを求めたところ、「医者の流出を政府がコントロールしているわけでもなく、国内では給料が安いため仕方がないのではないか」という答えが返ってきた。

2] 病院訪問

続いて大学付属病院(Philippine General Hospital)の見学をした。交通渋滞でUPに着くのが1時間ほど遅れたため、小児科を短時間で見学しただけで終わった。ここへは、フィリピン全土から難治患者が運ばれてくるという。重度の水頭症の子供などが入院していた。時間が少なく、病院全体や大学の中の雰囲気を見て巡れなかったのが残念だった。 (柏木)

 

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フィリピン大医学部の小児科病棟にて

 

3) フィリピン保健省[Department of Health (DOH)]訪問

1] Dr. Enrique Tayagのお話 〜フィリピンの厚生部門の諸問題

2] Dr. Tito Kingのお話 〜比政府のハンセン病対策

 

1] Dr. Enrique Tayagのお話 〜フィリピンの厚生部門の諸問題

表敬訪問の予定であったSecretary of Health(保健大臣)のDr. Alberto Romualdezは大統領との仕事で来られなくなり、代わりにDr. Enrique Tayagが厚生部門の改革について話してくださった。

フィリピンの保険制度は現在では病院との契約になっており、私立病院は数が少なく費用も高いので、貧しい人々はほとんど公立病院に行かざるを得ず、病院の選択が出来ない。医者側にも私立病院は不安定で人気がない。この状況を改善するために、保険の契約を保険会社との間で行い、病院を選択できるようにし、また公立と私立病院との競争を促す。2004年までに制度の完全な普及を目指している。

 

2] Dr. Tito Kingのお話 〜比政府のハンセン病対策

後半はDr. Tito Kingによるハンセン病(leprosy)の話であった。

ハンセン病の根絶のために、フィリピンでは1985年MDT(multi-drug therapy)が二つの地方(CebuとIlosos Norte)で試験的に導入され、1989年には全国に導入された。国全体での有病率を1998年までに1/10,000未満にする目標は達成され、地方レベルでの有病率を2000年中に1/10,000未満にする目標を達成できるよう努力しているのが現状である。

 

 

 

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