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2] 家庭訪問

さて、私達は小1時間程BHSで過ごし、コーラやお菓子までご馳走になって、すっかり気分が和んだところで、次に、BHWの仕事の1つである家庭訪問に同行した。

家庭訪問先の家は、2LDK〜3LDKほどの平家で、庭の中央には井戸があり、そこで食器を洗ったり、体を洗ったりするという。周囲には牛、鶏、豚が飼われ、作業場がある。

はっきりいって、私は家の中の、彫刻の施された階段や装飾品、家電製品の充実ぶりに驚いた。水道が井戸で、ガスがボンベからの供給である以外、殆ど日本の一軒家とかわらない。実は、この家庭は農業でこれほどの収入を得ているのではなく、夫が台湾へ出稼ぎしているそうだ。海外で働くのはフィリピン人の中では珍しいことではないという。フィリピン人は、稼いだお金をまずは家の改築などに注ぐのが普通だそうで、一見裕福に見えるがこの辺りでは標準的なものらしい。

現在この家庭には生後数カ月の赤ちゃん1人がいて、BHWは定期的に検診にきている。母親は2〜3人の子供が欲しいと考えているそうだ。出産は帝王切開だったため、ギンバ州病院に搬送された。フィリピンは一次医療が日本よりも発達していると思うが、white card(後述)は試行中なので、BHSと病院は連携がとれず、入院中はデータが空白になってしまうという問題がある。

 

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Partidaの民家の前で

 

3] yellow card、red card、white cardについて

いわゆる母子手帳のことである。under five clinicのベースになるものといえよう。10年程前から政府保健省(DOH)は妊産婦、出生児の健康管理のため、母親用にredcard、出生児用にyellow cardをつくった。しかし、DOHは1991年、under five clinicを地方分権化し、結果、活動内容は医師によって様々で、地域格差が広がった。また、2枚のカードは煩雑であった。そこで、JICAは母子の出生前後を一貫してチェックできるwhite cardを打ち出した。現在タルラック州の3つのRHUと、ヌエバ州の2つのRHUの計5ケ所で試験中であり(試験地域では3色のカードを併用している)、このPartidaでは2年計画の1年が経過し、今、報告書を作成している段階である。

 

 

 

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