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MaturanocのBHS前でMidwifeを囲んで

 

ここのMiawifeは朝の10時から夕方5時までBHSで働いている。時間外の急患はいつでも彼女の自宅に訪ねて来る。MidwifeはBHSにおける仕事をすべて執り行っており、BHSの機能はMidwife次第と言える。Midwifeの仕事はとてもハードで、もし人がいるならもう1人欲しいのだと話していた。彼女の仕事振りは、RHUのスタッフであるPublic Health Nurse (PHN)により評価されている。PHNは5つのBHSを巡回しており、Midwifeの提出するレポート等を元にして村人の健康評価、相談を行っていた。

一方、PHWは週に1回、BHSで働く村民のボランティアである。家事や育児の傍らで働く女性が多い。村の中で病気の人を見つけ、Midwife往診の依頼も行う。お揃いのTシャツを着て、忙しい中でも仕事を楽しんでいるようであった。

BHSでは妊婦検診、分娩、母子管理、家族計画が行われていた。

妊婦健診は子宮底の測定、胎位・胎向診断、胎児心拍の聴診、内診等を実施していた。異常妊娠は5〜10%であるという。分娩については、アメリカから滅菌された分娩器具が支給されていた。また、昔のように竹で臍帯を切ることなく、臍帯クリップが用いられている。オキシトシンも常備されていた。衛生状態はかなり改善されたといえる。母子管理はUnder 5 clinic projectに基づいて行われていた。母子手帳はSOAP方式(日本でも近年普及が推進されているカルテの書き方)で書かれていた。海から遠く、ヨードが不足することが多いため、ヨード剤を常備していた。家族計画は、随時、父母がBHSに来て相談していくという。

BHSの問題点は、Midwifeでは対処しきれない異常分娩(大量出血等)の時である。救急車を呼び、病院に運ぶ必要があるのだが、フィリピンでは交通整備は整っておらず、救急車を派遣する意識も高くない為、実際に上手く機能していないそうだ。毎日の交通渋滞、雨ですぐに水浸しになる町などの問題が解決されるためにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 

2] ボティカビンヒ訪問

ここのボティカビンヒは、村の一角に物置小屋のように建てられており、常駐する人はいなかった。救急のときにだけ用いられるそうだ。入会金は一人当たり25ペソ、月会費は一人5ペソであった。薬(herbal medicineも置かれていた)だけでなく日用雑貨や、啓蒙用のパンフレット(デング熱や家族計画等について)も置かれていた。

 

 

 

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