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Mrs. Beverly Reyesと薬の棚

 

Mrs. Beverly Reyesは、「ここではまだ誰も借金をした事がない」と誇らしげに語ってくれた。「将来の希望は」と尋ねると、「こうしたシステムを周辺の村にも広めていくために専門家を育ててゆきたい」という答えが返ってきた。まだまだ地域によって差のあるボティカビンヒが、こうした人々の地道な努力と熱意によって、さらに住民にとって利用しやすく、頼れる施設になっていくのだと感じた。 (水上)

 

(5) Tarlac Provincial Hospital (TPH) 訪問(第三次医療施設)

Tarlac州の州保健委員長(Provincial Health Officer)で、Tarlac Provincial Hospitai (TPH) の院長でもあるDr. Ramosの案内で、Tarlac州の三次医療を担うTPHの小児科、産婦人科、手術部を中心に見学した。200床を有するこの病院では、60年代早期に創立され、地域医療のもっとも中核の病院で、年中、8割前後の満床率を有しているそうだ。

病棟はService WardとPay Wardの2つに分けられている。Service Wardでは、検査費用を除く医療サービスを無料で支払い能力のない患者に提供していて、それ以外の患者は自費でPay Wardを利用している。二つの環境の違いは若干であった。

小児科の病棟では、下痢症、髄膜炎などといった中枢神経系の感染症の患児が中心だそうだ。急いでいたため、患児の家族とお話することはできなかったが、重症の患児が少ないという印象を受けた。産婦人科の病棟では、Dr. Ramosに母乳授乳の重要性を強調され、途上国の母乳授乳普及運動に入れる力を実感させられた。分娩室とNICUもしっかりと備えられていて、一日10から15ぐらいの分娩がここで見届けられているそうだ。手術部では、月に400件の大手術が行われているという。この日も、腸重積症、鎖肛の患者の手術が行われたばかりだそうだ。Intensive Care Coronary Care Unit (ICCU)も設けてあるが、うまく機能できず、現在一般手術の管理もICCUで行われているそうだ。

JICAより寄贈されたX線写真撮影と超音波の機械も見せてもらった。日本政府の医療援助はこういうところでしっかりと役に立っているのだと感じた。 (林)

 

 

 

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