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ちなみに、Tarlac市では、出産の45.2%が助産婦の立ち会いの下で行われいて、その他の職種の出産立会い率がそれぞれ、医師35%、Hilot(伝統的産婆)14.6%、看護婦5.2%である。出産の場は、病院でなく家庭が中心である。

 

3] Tarlac市の疾患状況

RHUの中には、さまざまなポスター類が貼られていた。咳嗽と呼吸困難の対応法、母子手帳使用の増進、糖尿病の6症状、煙草の害、家族計画の薦めのポスターから、保健統計データまで何枚もが壁を埋めていた。

統計データによる、1999年のTarlac市の死亡、罹患の上位疾患を示す。

 

・死因の上位(人数;人口1000人あたり)

1)循環器疾患 126人;1.72

2)循環呼吸不全 46人;0.625

3)肺疾患(結核) 36人;0.489

4)悪性新生物 26人;0.353

5)肺炎 25人;0.343

・罹患率の上位原因疾患

1)気管支炎

2)急性呼吸器感染

3)インフルエンザ

4)消化器疾患

5)下痢

6)肺炎

 

日本とはやはり異なる特徴があり、感染症の多さがわかる。死因として循環器疾患が多いのはTarlacが割合に豊かであることによる。フィリピンの食事は豚の脂をふんだんに使用したもので、かつ近年はファーストフードが大流行している。フィリピンでは社会の高所得層には食事と運動不足による成人病が、そして低所得層には栄養不足と劣悪な衛生環境による感染症が問題となっていることが、この小さな統計表から類推できた。 (林)

 

(3) Barangay Health Station (BHS) 訪問(一次医療施設)

1] 家族計画

2] 栄養

3] 予防接種

4] 環境衛生

 

私達が見学したBarangay Health Station (BHS) は広さが約20畳ほどの平屋であった。中にはカーテンで仕切った小さな小部屋と事務用の机、医療器具がのった台、ソファーなどがあり、掲示板には手書きの医療統計表や、下水普及状況地図が貼ってあった。このBHSは4つのBarangayに住む700家族をカバーし、担当するCity Health Midwife (保健婦)はMrs. Mercy Manlutacのただ1人である。

主な活動としては家族計画(Family Planning)の促進、栄養摂取の促進、予防接種の普及[Expanded Program on Immunization (EPI) ]、環境衛生(Environmental Sanitation)などがあげられる。

 

 

 

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