日本財団 図書館


病院を出て、二次医療施設の現場、Tarlac Rural Health Unit (RHU) IIを訪れた。Tarlac州の人口は75,234人(2000年6月現在)で、24個の村(Barangay)がある。訪れたRural Health Unit (RHU) IIは7つのBarangay Health Station (BHS) (一次医療施設)を統括する。RHUは二次医療施設にあたり、Tarlac州には4つある。

RHU IIで我々を迎えて説明して下さったのはCity Health OfficerであるDr. Paz Sisonであった。入ってすぐに6畳ほどの開放空間があり、そこで大抵の問診活動およびカウンセリングを行うという。住民のカルテが棚に整理されていた。奥には4畳半ほどの小部屋が5つある。日本の感覚では決して大きいとは言えないが役割は重要である。

 

1] RHU IIの業務

RHU IIでは、以下の7つの業務がDr. Paz Sisonの監督下で行われている。

1) 母子保健(MCH):

出産前のアセスメントとプランニング、分娩後のケア、新生児のwell-being

2) Center of Disease Control (CDC):

下痢症、結核のコントロール、経口補液の提供

3) 家族計画(FP):

IUD、pill、condom、ステロイド注射などといった避妊器具の提供

4) 栄養:7歳までの子供の体重、身長、頭囲計測によるモニタリング。産婦の栄養

5) 環境衛生

6) 産婦の歯科的ケア:週に2回の定期歯科検査

7) 健康教育:herbal medicineの利用、家族福祉、PHCなどの教育である。

 

2] RHU IIの職員構成

RHU IIに常駐している職員はMedical Doctor (MD) 1名、Public Health Nurse (PHN) 2名、Rural Health Midwife (RHM) 7名、Rural Sanitary Inspector (RSI) 2名、Aide (助手) 2名で、Dr. SisonはこのRHU IIに常駐しているMDにあたる。

 

RSIという職種にあまり馴染みがなかったので、その業務内容について尋ねてみた。フィリピンの他の地域と同じく、Tarlac州も医療よりも、予防に力を入れている。そこで、町や村の公衆衛生を担当しているのがRSIである。工場から流れ出た廃水管理、レストランの衛生証明書の発行、風土病の流行の原因探索などといった活動を主に担っているそうだ。RSIになるためには、そのための育成カレッジを出て、在職訓練が必要だそうだ。

RHMの業務内容についても尋ねてみた。二人目の子供の在宅出産手伝いだけではなく、住民に対する健康教育を施すのに大変活躍しているそうだ。絶対的な医療資源が足りない中、フィリピンの助産婦は出産だけではなく、プライマリーヘルスケア(PHC)の第一線を担っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION