6歳の三女Jeniferちゃんは水頭症を患っている。現在も病院にかかることがあるが、その費用が目下Asantor家の悩みの種である。一家の収入月5,000ペソのうち、教育保険や税金などを除いた1,000ペソが一ヶ月の生活費であるが、主治医のいる国立フィリピン病院までは交通費だけで400ペソもかかる。CTスキャンの費用1,200ペソはある制度で600ペソになったが、それでも、薬までは手が届かない。当面はフィリピン病院の補助制度やドイツの医療NGOの補助を駆使して薬代に当てているが、とても苦慮しているのが現状である。
Profetizaさんは若い時分、フィリピン北部の田舎町からおばさんを頼ってマニラにやってきて、結婚を期に今の住居に移り住んだ。フィリピン国家住宅省が住宅政策によって、より良い住宅を供給すると謳っているが、自分が恩恵に与るのはいつになることか、Profetizaさんはため息をついた。
この家庭訪問で、一個人や一家庭を掘り下げることの重要性を再認識させられた。マクロの視点の他にミクロの視点を併せ持たなければ、真実は見えてこないのではないだろうか。 (江副)
(5) フィリピン大学医学部の医療救援グループと
村の中の広場には、子供達が駆け回る隅にテントが張られ、赤十字マークの布がかかっていた。聞くと、フィリピン大学医学部内有志の医療救援グループだという。卒業前の医学部、看護の学生達を中心に、まだ一年生という学生もいた。
活動の内容は簡単な診療で、問診表に記入してもらってチェックした後、喉を見たり、聴診をしたりしていた。耳鏡での検査も行っていた。薬を出すことはしないが、ここで状態が悪い人を見たら医療機関に行くよう勧めるのだということであった。
ボランティア学生達は、自分の出来る形で役に立っている充実感に満ちていた。日本では学生の身分でそのような行為をすることは難しい。制度の違いではあるが、羨ましく感じた。 (八島)