この度は「DAN YEAR 2000」、まことにおめでとうございます。日本の誇る国民的作曲家團伊玖磨先生の多くの作品を、今回のシリーズを通して聴くことができるというのは、私たちにとって大きな喜びであるばかりでなく、二十世紀から二十世紀への橋渡しにふさわしい企画であると思います。
このシリーズの中では、私も團先生の数少ないピアノ作品の一つ、『ノヴェレッテ』を演奏することになっています。『ノヴェレッテ』にはいかにも團先生らしい、叙情的かつミステリアスな旋律が豊かに織り込められていて、演奏する私はいつも想像力を刺激させられます。
昨年、アメリ力のアトランタで演奏したときは、コンサートのあと、この作品のCDを入手したいという声が多数寄せられました。美しい旋律というものの及ぼす大きな力を、改めて感じさせられたことでした。
願わくば、團先生、もっとピアノ曲も書いて下さいますよう。ピアニストとしては、そのオペラや歌曲で美しい「團ぶし」を高らかに歌い上げる歌手の皆さんに、ちょっと嫉妬を覚えるこの頃です。