伊藤:先生、「長良川」がないですね。
日下部:「ソプラノソロと管弦楽のための長良川」ですね。
團:あ、これはオーケストラ、管弦楽曲に入っていますね。これは声楽の方に入れた方がいいかもしれないね。これはオーケストラと伊藤さんのソロでずっと歌って頂いて。
團:あとオペラの中で合唱が付くのがいくつかございますね。「夕鶴」はありませんが、「聴耳頭巾」は大分、合唱のオペラみたいな…
日下部:それから「ちゃんちき」も。
團:そうですね。それから「ひかりごけ」もコロスみたいな男声の合唱がありますね。それから「楊責妃」もむろん大きな合唱が入りますし、全部後は合唱が入りますね。
畑中:辻井さんの「街道シリーズ」もそれぞれいい曲ですよ。
團:聞いてくださいましたね。気に入ってくださって。
畑中:もっと続くのかなあと思いましたけれど。
團:今、中断しているんです。詩人が実業方面でお忙しいので(笑)
畑中:これを機にお尻をひっぱたきましょうよ。
日下部:ですからその「街道シリーズ」辺りから、さっき大和田さんの話にもありましたけれど、オブリガートというか、独奏の器楽が入るシリーズになっていますね。
大和田:もう「長崎街道」の完成度が非常に高かったですからね。
團:そうです、それもあったんです。次どうしよう、というのも。
大和田:フルート・ソナタもそうですけれど、1曲ごとの完成度が高いんですね。
日下部:完成度が高すぎて、次が書けない。
團:そういうことはあります(笑)。
大和田:それくらい先生の作品は全部凝縮されているんです。
團:ちょうど「長崎街道」のフルートのソロ、それから「木曽路」のオーボエのソロ。
日下部:「紀州路」はクラリネットですね。
團:そうすると次はファゴットしかない、みたいじゃないですか(笑)
畑中:いや、面白いじゃないですか。少しユーモラスなものにと考えて(笑)
團:勉強のためには4本のファゴットのためのソナタを書きました。あれは随分ヨーロッパで演奏されています。僕自身がいった時も、ブルガリア、ルーマニア、ほうぼうで演奏しました。
畑中:合唱とファゴットって面白いですよね。
團:ありがとうございます。では勇気を持って(笑)作ります。
小山:何か非常にコミカルな雰囲気ですね。
日下部:何かこういう日本の風土記的なものにファゴットは合う感じがしますね。
小山:で、今とっさに私は「弥次喜多」が頭に浮かんだんですけれど「東海道」とか。
團:シルクロードがあるんだから「ジャパンロード」もね。
日下部:その他何か先生に対して質問、というか注文があったら最後に。
最新作の固い約束
畑中:この新しい歌曲「マレー乙女の歌へる」はもうお出来になっているんですか?
團:いや、まだまだ。何分の一かは出来ていますが。
畑中:いやこれは久々の歌曲集なんですね。
團:これは僕にとって真剣というか、一晩かかる歌曲集ですが、40からの詩があるんですが、イヴァン・ゴルという最近再評価されるようになったユダヤ人の詩人を堀口大學先生が訳詩をされて、その訳詩が非常に素晴らしいんですよ。先生が生きていらした頃から固い約束をしたものです。