小林:中位というと、何分位でしょう?
團:そうですね、25分か…
小林:25分だと先生、中位ですか…
團:そう変な顔で聞かないでよ(笑)
日下部:確かに作品リストをみましても、コンチェルトが何でないんだろう、と思いますよね?
佐川:それに関連してね、先生、交響曲の5番でしたかしら、弦のソロのコンチェルタンテ風に始まる素敵な曲が先生にはあるんですけれども、やっぱりピアノをガンガンやる、というようなのはどうも先生向きじゃないみたいですね(笑)。
團:そうですね、5番の交響曲というのはクァルテットで始まるんです、延々と。そこに弦が入ってきて…僕自身も好きな曲です。
日下部:まあその「書かれていない」作品についてはまた一番最後のまとめのとこるでお話してみたいと思いますが、室内楽は如何ですか?小林先生。
小林:先ほど申し上げましたが、私の知っているのでは「古雅なるファンタジー」というのがありまして、これを私ども昔、才能教育というのにおりました関係上、そこにおりました先生方で組織されていました、あえて過去形にしますが「才能教育東京弦楽合奏団」というところで初演させて頂きました。あまり出来は良くなかったように思いますが。その後、東フィルかどっかでやったのを聞かせて頂きましたけど、これもあんまり感心しなかった。で、先生が今度、「とてもいいのがあるよ」とおっしゃっているので楽しみにしていました。それは小編成なんですけど、ヴァイオリン2人のソロが入っておりましてね。
團:それとチェンパロ、あと、弦楽合奏です。この曲は、一番最初は「コンチェルト・グロッソ」という名前で自分のオーケストラリサイタルで演奏いたしました。東響だったか、読響だったか。それをやってみて、全面的に書き直そうと思いました。近衛秀麿先生が聞いて下すって、ああいう書き方だともっと編成を小さくして、各ソロ、チェンバロもよく聞こえるように、「一緒に少し書き直しましょう」と言ってくだすって、そして今の形になったのです。
日下部:小林先生が委嘱されたのは「ヴァイオリンとピアノのためのファンタジア」という曲ですね?
團:そうです、まず1番そして2番、3番。
日下部:今のお話はそのことなんですか?
小林:ええ、先生が、これ、ファンタシアじゃなくてファンタジア、というそうですが、1、2、3番作ったので、弦楽の方も「ファンタジア」にしようということで、で名前を「古雅なるファンタジア」という風にしたんです。
團:そう、古い技法がたくさん使われているんです、遁走曲風な技法もね。
日下部:それからフルートの曲も非常に多いんですが、これは大和田さんの関係ですか?
大和田:ええ、先生はフルートの曲を私と出会う前もいろいろ書いていらしたと思うんですが、本格的にフルートのソロとして扱ったものとしては、私と出会ってからが多いように感じます。殆ど私と関係して出来ていることも光栄に思いますが、最初の出会いは、詩人の辻井喬さんに連れて行かれました「木曽路」の公演の時だったんですね。
日下部:ああ、合唱曲の。
出会いから生まれた作品
大和田:ええ、その「木曽路」の中にオーボエのソロが入っていたのです。その後紹介されました時に「あなた、ビッコロ吹きますか?」っておっしゃったんですね。