現田:例えばワーグナーなんかも、全部神話から題材をとっていますから、そういう点でみたら日本の神話などは題材の宝庫だと思うんですね。それをとってきて、僕らは戦争を知らない世代なんですけれど、「まほろば」から連想されることも色々あると思いますが、いい話は残していかなくてはならない。「ヤマトタケルノミコト」にしても「因幡のしろうさぎ」にしても、僕らの世代はそういう良い話が削られている気がしてるので、残していかなくては、と思います。
日下部:私はこの7つのオペラの作品を並べてみると、團先生のテーマの作り方が一作品ごとに変わっていくというか、もちろん一貫したものはあるんですけれども、まあ、「夕鶴」からスタートして、いってみれば「夕鶴」は拝情の世界だと思いますが、そこから「聴耳頭巾」というフォークロアの世界に入っていく。それで「ひかりごけ」になると非情の世界といいますか、非常に、日本の常識からはずれるようなものを持ちこんでいる。さらに「ちゃんちき」では、ギリシャ劇が入る。で、この「素戔鳴」「建」は神話の話ですね、何かワーグナーを思わせるような。その辺の進み方が面白いというか、これは意識として一作ごとにやはりテーマ性を考えていらっしゃるのですか。