ここでは、次の五つの観点から考えていくことにしましょう。
セクハラ相談の五つの心得
ア 相談してくれたことを歓迎する
イ 安心して相談できる環境をつくる
ウ 被害者の話に耳を傾ける
エ 被害者の意思を尊重する
オ 記録をとる
ア 相談してくれたことを歓迎する
セクシュアル・ハラスメントを受けた人は、二重の苦しみを抱えています。
第1に、セクシュアル・ハラスメントの被害にあったという苦しみ。第2に、そのことを相談したくてもなかなかできないという苦しみです。
セクシュアル・ハラスメントの被害に遭うことが大変に辛いことであるというということは、すぐに理解できると思います。では、相談したくてもできない苦しみとは、どのようなものなのでしょうか。
例えば、だれかにそれを相談したことによって、それが公になってしまったらどうでしょうか。プライバシーが侵害されるかもしれない。あるいは加害者から恨まれて、さらにひどいセクシュアル・ハラスメントを受けるかもしれない。職場のメンバーがそのことを知ることによって、人間関係が悪くなってしまうのではないかなどと、被害者は様々な危倶を持つのです。
また、上司にそのことを相談することによって、上司からトラブルメーカーというレッテルをはられるのではないかという恐怖もあります。
このような被害者の心理を考えると、だれかに相談するということは、想像以上に大変な勇気を必要とするものなのです。