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しかし、それらのことはともかくとして、明らかに業務過重があったとみとめられる場合には、それを重視し、それだけで認定するという方向に変わってきました。精神疾患等についても、ストレス脆弱性ということは全く無視しないものの、やはり業務過重を主体に考えるということと共通しているところがあるように思われます。

ところでよくA型タイプの人間ということをいいます。これについても冊の本があるくらいですが、A型タイプの人間とかA型行動パターンというのは、成書によると、具体的には、「気性が激しく、仕事においても余暇の時も競争心が強く、いつも時間に追われてイライラした感じがあり、絶えず物事を達成する意欲を持つ」とかかれています。そしてこれは、行動様式の一つであって性格というのとは違うともいわれています。ちなみにA型のAには特別の意味はないといいます。

これは第2巻でも述べた、燃えつき症候群に陥りやすいタイプというのと共通するところが多いのです。

このA型タイプの人が、虚血性心疾患つまり狭心症などを含む過労死の元になる疾患にかかりやすいという報告があります。つまり、A型タイプ、A型行動パターンというのは、過労死の危険因子であるということが、ほぼ間違いないといわれているところです。

燃えつき症候群に陥りやすい人は、過労死の危険がある。またその反対に、過労死になりそうな人は、燃えつきやすいといってもいいすぎではないような気がします。

したがって、燃えつき症候群のところでいいましたように、自分の性格や行動パターンをよく自覚し、つまり「気付き」ですが、その上で自分の健康管理を含めた日常生活、仕事のやり方をよく考えることが、不幸な災害を防ぐことになるという点を強調しておきたいのです。

最後の精神疾患と労働災害というところでもいいますが、結果的に労働災害と認定されて、家族に対して何らかの救済策がとられたとしても不幸は不幸であることに間違いはないのですから。

 

 

 

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