また、退職を勧めて、かえって訴えられたという例も聞きます。
実際には、困ることは困るが、そう極端ではないというような場合を含めて、何となく職場としては仕方がないので、あたらずさわらずにしておくとか、好きなようにさせて様子を見るより仕方がないといった事実も良し悪しは別として、現実にはないとは言えません。そこで、三次介入で取り上げた「たらいまわし」というようなことも起こってくるということになります。
結局、最終的にはケースバイケースだということになってしまうかもしれませんが、人格障害の問題は、精神科医にとっても、最も頭の痛いことの一つであることは間違いありません。
世間で問題になっているような重大犯罪につながるような人格障害については、ここでは取り上げません。
余り結論にはならない結論ですが、人格障害というのはカウンセリング・マインドだけではどうにもならない、あるいはカウンセリング・マインドになじまない例も多いということになるのでしょうか。
オ 過労死
過労死(脳、心臓疾患による突然死)については、労働災害としての認定基準も以前にできていて、社会的にもコンセンサスを得られるようになって来ました。
ここでは、メンタルヘルスのことが主体なので、直接関係ないともいえますが、過労死とストレスとの関係もいわれていて、メンタルヘルスとも無関係ともいえませんので、少し説明をしておきたいと思います。
過労死を労働災害と認定するには、それと因果関係があると思われる業務上の過重の存在が条件になり、この業務過重は、精神疾患等の発症やそれによる自殺の認定の場合とほぼ共通するようです。
ただ、過労死で問題になっていたのは、もともとそういう状態になりやすい身体疾患をもっていたのではないか、本人自身の健康管理に問題はなかったのかというような点でした。