怒られても、怒鳴られても悪意を持たれない上司もいるかと思います。漠然とその上司の性格だといってしまえばそれまでですが、人任せであるとか、日和見的であるとかということになると、結果的には、職場のいじめにつながることがあるかとも思います。
職場のいじめというのは、良いとか悪いとかいう単純なことではなさそうです。
職場だけでなく人間社会の中で、別のいい方をすれば、人間同士の付き合いの中で、いじめということがなくなるということが果たして可能なのかということにもなります。
前に健康な精神とはというところに出てきた「他人の不幸を悲しみ、幸せを喜ぶ」というのは、大切なことではありますが、なかなかその通りにはいかないかもしれません。人間というのは本質的には意地の悪いものなのかもしれません。あの人は本当にいい人だと他人からいわれる人が有能かどうかといわれると、場合によってはそれも何ともいえないのかもしれないのです。
しかし、人と人との付き合いというのは、相手の人格や物の考え方を尊重し、自分本位の考えに走らないところから円滑な関係が生まれるわけですから、職場のいじめをなくすためには、一人一人のありようはともかくとして、上司に当たる人たちが、常に部下に対してカウンセリング・マインドをもって付き合うということが、第一ではないかと思います。
いじめというのは、まさにカウンセリング・マインドの逆のことだといえます。
同じことの繰り返しになるかとも思いますが、上司としては、部下の一人一人がそれぞれ違う人格の持ち主であるということを踏まえて、公平にかつ相手をよく理解して付き合い、指導することが職場のいじめを少なくする方法かとも思います。もちろん、前にもいいましたように、上司も自分の立場や物の考え方をきちんと表明することも大切です。
また、ストレスが大きい状態では、だれもがいらいらし、自分本位の行為に走るということはよくあることですから、間接的なことかもしれませんが、職場としてのメンタルヘルス対策というのも、いじめを防ぐ一つの大切なありようかとも思います。
このようなことも含めて、職場のメンタルヘルス教育の大事なこと、またいじめに対する相談を受ける受け皿作りなどを考えていきたいと思います。
いじめの実態とか事例或いはそれにどう対応したかなどのことに言及すると切りがないので、ここでは職場のいじめについての大まかな考え方を示すだけにしておきます。