意識的であるにせよ、結果的にそうなるにせよ、もちろん前者の方がよくないわけです。いじめという行為そのものが悪いことであるのは確かですが、いじめられる立場の方に全く問題がないかというと必ずしもそうであるとも言い切れないところがあります。
仕事の面で周囲との協力ができない、自分勝手である、口数が少なく周囲と交わらないなどのことがあると、ついついその本人を無視するというか、避けてしまうようなことがあり得ると思います。それをいじめと本人が取るのは大変勝手だという見方もあるでしょう。
ただ、第2巻で精神疾患等について述べてきたのは、職場の中で問題となる人の中に、広い意味での精神的不健康の人がいるということの知識をもってもらいたいためで、このような場合に、本人を疎外するというのは以っての外ではあります。いじめという場合は、単純には強者と弱者という図式が考えられるわけですが、少なくとも精神的な弱者に対するいじめというのは論外のことであります。但し、このような場合には、単にカウンセリング・マインド的な対応のみで解決がつくわけではないのでその辺を第2巻で説明したということです。
一方でいじめられる方の精神的な問題というか、いじめられやすいタイプの人間がいるともよくいわれます。ただ、これは非常に難しい問題点を抱えています。前に挙げた、どうも性格に偏りがあるような職員に対しても、周りが我慢して付き合わなければいけないのかといわれると返答に困るということにもなります。また、どちらかといえば孤立的になりやすいタイプの人で、おとなしいといえばおとなしい人ですが、どうしても周囲と円滑な人間関係が持てないということがあり、結果的に同僚から無視されるような状況になることもあるでしょう。
このような時に上司というより職場としてのいじめのように見えるかもしれませんが、だれも責めるというわけにもいかないというのが正直のところかもしれないとも思います。
しかし、やはりこの問題についていえば上司の姿勢というのが番大切なことになるようです。上司というのは穏やかで、何もいわない、ただ黙っているからいいというものでもないでしょう。