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(1) 非健康な状態にある揚合の注意

うつ病などの精神障害が疑われる場合には、早期発見と早期の適切な措置を講じること。なお、うつ病は真面目で几帳面な人がなり易く、本人も悩んでいるといわれ、本人に対する叱陀激励は、本人を追い込むことになるので、逆効果である。

また、うつ病などの精神障害での長期療養の場合、入退院や職場復帰など生活や環境が変わる時などが特に危険である。

身体疾患などで、療養期間が長くなっている職員に対しては、本人が安心して療養に専念できるような配慮が必要である。また、慢性の身体疾患者や「最近よく眠れない」などと不眠を訴える職員に対しては、適切な指導を行うなど、注視を怠らぬこと。

(2) 自殺の素振りや未遂行為のある場合の注意

部下等の職員で、「世の中が厭になった」とか「死にたい」というようなことを周囲に漏らす時、又は遺言めいたことを言ったり、何となく身辺の整理をしたりする素振りは、本人からの予告サインであるから、これを見逃さず直ちに家族を通じるなど、精神科医等へ連絡してその指示を仰ぎ、適切な措置をとること。

また、以前に自殺未遂のあった場合には、再び自殺するというケースは多い。自殺未遂がわかった場合には、精神科医などと連絡をとり、指示のもとに治療など適切な対策をとること。

(3) 仕事上や家庭内での大きな変化、アクシデント等のある場合の注意

管理者層や仕事が極端に多忙な職員の中には、職場と仕事に「過剰適応」していて自己を見失っている状態の者が見受けられるので、このような職員に対しては、仕事の面で精神的あるいは身体的な極限状態に追い込まないような配慮が必要である。遅くならないうちに休養させることも肝要である。

転勤、異動、栄転、家の新築、子供の進学や結婚など、仕事上あるいは生活上の大きな変化が自殺の誘因となる場合もあるので注視を怠らぬこと。

家庭内のいざこざ、離婚、失恋、借金、配偶者の死亡など、プライベートな問題にも平素から注意をはらい、悩んでいる様子などがみえる時は、親身になって相談にのってやることが、大切である。

 

 

 

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