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また、監督者研修をする場合に、自分の職場で起こった部下の問題などを話題に取り上げてしまうこともあるかもしれませんが、そのようなことをすると、他の職場の人にもその部下についての情報がどんどん流れていってしまいます。これでは部下のプライバシーが守られていません。たとえ研修の場といえども、個人の秘密が漏れてしまうおそれがあるようなことはしてはならないのです。

職場研修の場合に題材として取り上げてよいのは、他人のプライバシーと関係のない当たり障りのないことだけです。

 

(7) ロールプレイでも守秘義務がある

カウンセリングにおける信頼関係づくり、あるいはカウンセリング・マインドにおける信頼関係づくりにおいて、「守秘義務」は最も重要なポイントです。

相手が自分の秘密を漏らしてしまうような人であれば、人間として信用できませんから、そのような人に相談をする人がいるはずはありません。「守秘義務」はどのような相談場面でも絶対条件なのです。

そうした意識を高めるためにも、研修の場面であっても守秘義務があるのだと考えて、細心の注意を払った対応をしましょう。

取り上げるケースについても、実際のケースを取り上げようとするのならば、だれの相談かを特定することができないように、必ず加工してから取り上げて下さい。

 

(8) ロールプレイは体験が重要

ロールプレイ研修は、プライバシーにかかわる内容、人の心に深くかかわるような内容でなければ、ある程度の研修を受けた人ならだれでもインストラクターとなることが可能です。専門家に依頼せずに、研修担当者などがロールプレイ研修を行っている職場もあります。

重要なことは、ベストの研修ではなくても、より多くの人が、何回かの経験を積めるようにすることです。人から何かを教えてもらうというよりも、研修受講者が自ら何かに気付くということのほうが重要ですから、インストラクターの介入は最小限にして、受講者がより多くの体験を積めるようにプランを立てましょう。

 

 

 

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