三人又は四人のうち、二人がロールプレイを行い、あとの人はそれをじっくりと観察します。
そして、一回のロールプレイが終わるつど、グループで話し合います。そのときに、カウンセラー役の人も、相談者役の人も感想を述べますが、オブザーバーも二人のやりとりを観察した感想を述べます。カウンセラー役の人がじっくりと話を聴いていたか、話しすぎていないかなどこれまでに学んだ基本的な態度について感想を述べるのです。そのうえで、全員で話し合えば、ポイントがよりはっきりとしてきます。
ただし、オブザーバーが感想を述べるときには、問題点をいきなり指摘するのではなく、最初に必ず「よかった点」を述べてから、感想や問題点を言うようにしたほうがよいでしょう。
(6) 職場のロルプレイでしてはならないこと
職場のロールプレイをするときに、研修担当者に配慮が足りないと、「今自分の悩んでいることについてロールプレイで話してみましょう」などということを行ってしまいがちです。これは、プロのカウンセラーになりたい人が集まっている場面で、かつ、その場の人たち全員の合意があり、しかも十分に訓練されたインストラクターが研修を行っている場合に限って許される研修法です。
そのようなプロフェッショナルなスキル修得を目指している人の集まりの研修ですら、プライベートなことを語るようにインストラクターから半ば強制的に押し付けられたということで、ときどき問題が発生しています。
お互いに利害関係があったり、通常の人間関係をもっていたりする職場での研修で、このようなロールプレイを行うことは、プライバシーの侵害につながる可能性が極めて高いものとなります。露骨に嫌な顔をする人もたくさんいますが、それが普通の人の感情なのです。
研修を行うことによって、人の心を傷つけるようなことがあってはならないことですので、職場での研修の場合には、プライバシーにかかわるような個人的なことを題材とする研修は避けて下さい。