一つには契約の意味があり、医師で言うところのインフォームドコンセントに当たります。はじめに両者の合意を得ることが重要です。そしてもう一つには、アイスブレーキングの役割を果たします。はじめの固い雰囲気をほぐし、緊張や不安を和らげたり、興奮している人、怒りをもっている人の感情を鎮める意味でも効果的です。
カ 質問
相談者の話で分かりにくいところ、あいまいなところなどを問い返すことです。相談者が自分の気持ちや考え方を整理したり、探索することで、現実の目標の自覚につながります。
・閉ざされた質問 − 「はい」「いいえ」「…です」などと限定された答えが返るもの
・開かれた質問 − 「どんな気持ち?」など相手が具体的に自分を語ってくれるもの
(質問例)
・そのことについて、もう少し話してみませんか(一般リード)
・その時、あなたの気持ちはどのようなものでしたか(感情定位)
・今、話していて、どんな気持ちですか(here&now)
・あなたはどうなりたい、どうなれたらよいと思うの(目標定位)
質問の中で注意しなければならないことは、自分の興味本位で聞いてはいけないということです。また、閉ざされた質問は、どうしてもカウンセラー主導になりがちです。それでは相談者の自己洞察が進みません。できる限り相手が具体的に自分を語ってくれるような開かれた質問を心掛けてください。さらには「なぜですか?」という質問は余り適切ではありません。「How?」ならいいのですが、「Why?」には多少否定的なニュアンスが感じられて、相手はしかられているような気分を味わい答えにくくなるからです。
以上、基本的なかかわり技法について述べてみました。この段階でしっかりとした信頼関係を築いたうえで、次の積極技法に入りたいと思います。