エ 感情の明確化
相談者が言語化できていない気持ちを「あなたのいいたいことは…ですね」と適切明瞭な言葉で表現することです。そのことにより、相談者の自己理解が進みます。しかしこれは両刃の刃と言われるほど難しい技法です。うまくいくと相談者の気持ちにぴたっとくるのですが、うまくいかないと、カウンセラーが相談者の気持ちを先取りしてリードすることになります。大切なことは、相手に「自分の言いたかった本質を理解してくれた」と思ってもらうことです。そうすることによって、相談者の意識の領域が拡大します。人は意識性が高いほど認識も判断も適切になるのです。
感情の明確化を分かりやすく表したアクスラインの「開かれた小さな扉」という話を例に挙げてみましょう。多少の説明が必要になってきますが、デブスというだれとも口をきかない自閉的な少年がいました。カウンセラーとの信頼関係もでき、遊戯療法を楽しみにやってきたある日、前回作ったせっかくの箱庭が壊されていたのです。
・「あなたは、どうして私が見張っていなかったのかと思っているんでしょう?」
・「どうして私が見張らなきゃいけないの?でも、そうして欲しかったのね?」
・「そのことで、あなたはがっかりして、怒りたい気持ちになっているのね」
というように、少年は一言も話していないのに、次第に感情が明確になっていくのが分かります。
オ 場面構成
カウンセリングの特性(時間、方法、守秘義務など)を分かりやすく説明し、相談者の不安の軽減をはかることです。