したがって、まさに人は、人と接するその時の態度、姿勢が重要になってくると考えました。
ロジャーズは、「人間は受容され、理解される時に自己自身を大切にする方向で成長する。つまり共感的に聴いてもらう時、自己のうごめく体験に耳を傾ける事ができるようになる。そして個人が自己を理解し評価する時のみ、自己は経験と調和を持つようになり、それがより真実になる。これらは治療者の態度の反映であり、個人をしてより効果的に成長していく人間に変えることができるのである。」と述べています。そして、1957年、ロジャーズによって提案された、「相談者の望ましい人格変容のためのカウンセラーの条件」は今もカウンセリングの基本的態度条件として、理論的立場をこえて広く受け入れられています。「カウンセリングの目指す心理的成長という結果が生じるためには、傷つきやすく不安な状態にある相談者が、ある条件を備えたカウンセラーと心理的接触を持つ事が必要・十分な条件とされます。」としています。そして彼は、そのことを魔法の三つ組(magic triad)と呼ばれる次の態度3条件で表現しました。
ア 一致(congruence)あるいは純粋性(genuineness)
温かさに裏打ちされた純粋性、ありのままという意味です。ロジャーズは自著「対人関係:ガイダンスの核心」のなかで、一致というのは、みせかけや飾りや偽りから自由になっていることと述べています。つまり治療者が専門家としての仮面で接することなく、自己自身であるほど、来談者は建設的変化を示すというものです。これは治療者がその瞬間に内部でうごめいている感情や態度に開かれていることを意味します。「透明」という言葉がこの雰囲気を伝えているのではないでしょうか。つまり、治療者は来談者に対して自己を透明に示す。純粋な一人の人間として、もう一人の大切な人間にありのままに接するということです。
そしてもう一つ、ロジャーズは次のような図で自己一致について説明しています。