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そしてロジャーズはこの力をグロースフォースと名付けました。

以上のような人間信頼、人間尊重の人間観に根ざした上でロジャーズは、1951年に著した「来談者中心療法」のなかで、初めて「来談者中心」という理論を展開しました。つまりこれまでは、よりX理論に近いとされる精神分析学の人間観に基づき、「人間は本能の塊である」「本能とは、奔放でコントロールが難しい」「人間はほうっておいたら大変な間違いを犯すものである」と考えられてきました。したがって、「その本能をうまくコントロールして人間らしくなるよう教え導かなければならない」という立場から、カウンセラーが中心になった指示的傾向の強いカウンセリングが行われてきたとしました。

しかしロジャーズは、上記のような人間観に基づくことにより、「カウンセラーとは、人の心を診断したり、修理する人ではなく、人が温かい人間関係の中で問題を乗り越え、自己実現していくのを見守る人になった。」としました。これが「来談者中心療法」の幕開けであり、その後カウンセリングのみならず、医療、教育、産業、福祉、などあらゆる領域に応用されるようになりました。そして今では問題を持つ人に限らず、一般の人の日常生活、あるいは職場において、人間関係を上手く結ぶための大きな手掛かりとなっています。

世界中に数限りなくあるカウンセリング理論の中で、ロジャーズのこの考え方が今なお多くの人の心をとらえ、多くのカウンセラーや精神療法家のよりどころとなっているのは、何よりもそれが、人間の潜在能力に対する力強い信頼に根ざした人間観に基づいているからではないでしょうか。

2] ロジャーズの態度3条件について

ロジャーズは「治療的人格変化に必要にして十分な条件」という有名な論文の中で、カウンセリングとは本質的に人間関係であることを前提において、「人は人間関係のなかで傷ついたり成長したりする」「人を変えるのは人である」としました。

 

 

 

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