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その典型的なものの一つが、フロイトが創始した精神分析学であり、幼児期の何らかの欠損部分が人間の精神形成上になんらかの悪影響を及ぼすというものです。

しかしマズローは、D心理学よりもむしろ、人間はより成長しようとする存在であり、人間存在そのものをもっと積極的、可能性に満ちたものとするB心理学の立場から、「自己実現」という事を非常に強調し、次のような理論を打ち立てました。

ウ マズローの欲求の5段階説

マズローは、平均的・健康な人間が持つ主な欲求を5段階に分類し、下記のような表にしました。

 

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人間は、まず生理的欲求が満たされると次の安全の欲求を求めるようになります。安全の欲求が満たされると、どこかに属したい、愛し愛されたいという所属と愛の欲求を求めるようになります。それが満たされると、ひとかどの人間であることを認められたい、他の人から尊敬されたいという欲求と同時に、自分も自分を受け入れ、自尊心をもって生きたいという承認の欲求が生まれます。そしてこれら4つの欲求は、人間の欠乏に根ざした動機であり、満たされる必要があるけれども、人間はこれら欠乏動機を満たす為だけに生きているのではなく、真の成長動機である「自己実現」の欲求に向かっていくものであるとしました。

 

 

 

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