「聞く」は、「音が聞こえる」、「音を聞く」という意味で、単に音が耳に入るという受動的なきき方をいいます。したがって、きいた瞬間に忘れられることもあれば、きき手にとって都合の良い部分だけが記憶されるということもあります。
次に「訊く」は、「訊問する」という言葉もあるように、「こちらが訊ねたい事を問いただす」という意味です。つまり話し手にとっては、きき手の側が必要とする内容を述べさせられるといった印象が強くなります。
それに対して「聴く」は、文字の中に心という字が入っていることからも明らかなように、耳で聞いたことを心で受け止めるということです。こちらが聞きたいことではなく、「相手が何を言おうとしているのかをきちんと受け止めるようとする能動的なきき方」のことをいいます。単に話された事柄だけではなく、話されなかったこと、保留されていること、表面下に隠れていることをもきこうと努力することです。