2 カウンセリング・マインドを身につける
(1) カウンセリング・マインドについて
カウンセリング・マインドについてもう一度確認をしておきますと、カウンセリング・マインドというのは、「カウンセリングを日常生活のシーンに取り入れて生きていこうというこころがけ」のことをいいます。
要するに監督者や教師などカウンセリングの専門家でない人でも、職場や学校、そして家庭などの人と人がかかわっている場所で、カウンセリングの理論や技法を取り入れながら人間関係や人が生きる上での問題解決に役立てようとする試みのことをいうわけです。
このカウンセリング・マインドの心構えを身につけていれば、職場での監督者と部下との関係、教育現場での教師と生徒の関係そして育児における親と子の関係などのあらゆるシーンでの対応に活かされ、自分自身ともしっかり向き合って自己啓発(自己の問題解決能力の向上)をしていくことにも役に立つはずです。
私たちは今、情報化社会の中にあって、インターネットなどによりたくさんの情報を手に入れることができますが、余りにも情報があふれすぎているため情報を選別することが必要となってきています。そしてともすれば安易さや結果のみにとらわれて、そのプロセスやそこにかかわっている人間への関心を無視してしまうことになりがちです。間違った情報にふりまわされずに、事実へ目を向けて、人へ関心を持ち心の交流を深めていこうとすることがカウンセリング・マインドの前提となっているのです。
部下にカウンセリング・マインドで接することのできる監督者のいる職場は、職員一人一人がもっている能力を適切に発揮し、活力にあふれています。人は自分を理解してくれる人のいる場所では、安心してのびのび生きる事ことができるからです。逆にいえばガミガミ注意ばかりしている監督者のいる職場では、自分がしかられるのが嫌なので、だれも協力しようという気がなくなり、職場での人間関係を持つことを拒否することにより、活気がなくなっていきます。